- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県行橋市
- 広報紙名 : 広報ゆくはし 令和7年9月号
◆今話題! 103万円の壁って?
「103万円の壁」とは、配偶者や家族の扶養に入って働くときによく話題になる収入の基準です。パートやアルバイトなどで年間の給与収入が103万円を超えると、本人に所得税が課税されるようになります。また、扶養している家族の控除の扱いにも影響が出るため、「壁」と呼ばれるのです。
そもそも、どうして『103万円』という金額がひとつの基準として語られるのでしょうか。実際にアルバイトやパートで働いていると、『これ以上稼ぐと税金がかかるらしい』『扶養から外れるってどういうこと?』といった声を耳にすることがあります。しかし、この“壁”と呼ばれる数字は、単なる慣習や噂ではなく、きちんと税金の仕組みに基づいたものです。仕組みを知ると、“なぜ103万円なのか”がわかり、将来の働き方や収入の見通しを立てるうえでも役立ちます。ここからは、積み木を削るように控除を差し引いていく所得税の計算方法を例に、その根拠を見ていきましょう。
◇103万円の壁の仕組み(現行)―給与収入のみの場合―
所得税は、収入全体にかかるのではなく、「基礎控除」や「給与所得控除」といった控除を差し引いた残りの部分に課税されます。つまり、働いて得たお金がそのまま課税対象になるわけではなく、生活に必要な最低限の金額はあらかじめ差し引かれる仕組みになっているため、一定の年収までは税金がかからないようになっています。これまでは、給与収入が103万円以下であれば、基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計103万円がまるごと控除されるため、課税所得はゼロとなり、所得税は発生しませんでした。反対に、103万円を1円でも超えると控除額を超えた部分に課税が行われるため、「これ以上稼ぐと税金がかかる」という基準として“壁”と呼ばれてきたのです。
◇160万円の壁の仕組み(改定)―給与収入のみの場合―
令和7年度税制改正により、控除額が見直され、基礎控除が最大95万円(+47万円)に、給与所得控除が最大65万円(+10万円)に引き上げられました。
これにより、給与収入のみの場合、160万円までは所得税において非課税という形になります。これが昨今耳にする「壁」が160万円まで引き上げられた、ということになります。これに伴い、扶養に入るための基準となる金額が引き上げられるなどそれに伴う改正も行われました。所得税における非課税の基準が引き上げられるとともに、扶養が可能となる金額が引き上げられたことにより、働き方の選択肢が広がることとなりました。
注意していただきたいのは、ここまで説明した内容については所得税に関する内容で、住民税は、今回の改正による影響は控除額の引き上げが主で住民税が課税される所得のラインに変更はありません。詳しくは市のHPをご覧ください。また、健康保険については、加入条件の変更は行われておりませんので詳しくは勤務先に問い合わせください。
◇Q 「年収の壁」が変わると、私にどんな影響がありますか?
これまで103万円や201万円といった基準を超えると、配偶者控除等や扶養控除が受けられなくなる「壁」がありました。令和7年度の改正で基準額が引き上げられ、一定の範囲までは控除が受けやすくなります。パートやアルバイトの方にとって、働き方の選択肢が広がるのがポイントです。
◇Q 学生アルバイトにも影響がありますか?
はい。19歳以上23歳未満の学生が親の扶養に入っている場合でも、今回の改正により所得の上限が引き上げられます。これまでより多く働いても扶養から外れにくくなるため、学費や生活費を稼ぎやすくなります。
◇Q 住民税への影響はありますか?
住民税に対しては今回の改正により控除額の引き上げや、所得税同様の扶養可能所得の引き上げが一部行われました。一方、住民税が非課税となる総所得額は据え置きとなっているため、注意が必要です。詳しくは市HPをご覧ください。
問合せ:市民税係
【電話】内線1133
【ID】0037986