くらし 特集 熱中症対策(ねっちゅうしょうたいさく)(1)

記録的な高温により、厳しい暑さが続く近年の夏。今年も暑い夏になることが予想され、熱中症の危険性が高まります。湿度が高く、体が暑さに慣れていない梅雨明けは特に注意が必要です。誰もがかかる可能性がある熱中症の正しい予防法を知り、熱中症にかからない生活習慣を身につけましょう。

■筑紫野太宰府消防組合消防本部の岩本消防司令補に市内の熱中症の現状と対策のポイントを聞きました。
▼筑紫野太宰府消防組合 消防本部 警防課救急係 岩本大輔係長
○熱中症(ねっちゅうしょう)は1つの災害(さいがい)
熱中症が原因で毎年多くの命が奪われていることから、熱中症は1つの災害と言えます。ただし、地震などとちがい、予防により発生を防ぐことができます。また、急に重症になるものではなく、軽度の初期症状があり、その時点で適切に体を休めれば症状は落ち着きます。自分の体の状態を把握し、熱中症から命を守る行動をとりましょう。

○市内(しない)の熱中症(ねっちゅうしょう)の状況(じょうきょう)
令和6年度は5~9月に78件の熱中症による救急搬送が発生しました。例年、7月から急激に増えています。また、発症場所は住居内が最も多く、次いで道路上が多くなっています。屋外で激しい運動をしているときばかりでなく、日常生活や歩行中に発症していることが多いです。

▼ココが知りたい
○高齢者(こうれいしゃ)は特(とく)に注意(ちゅうい)!
高齢者は、体内の水分が不足しがちで、温度に対する感覚も弱くなっているため、暑さの自覚がなくても熱中症にかかる危険性と重症化するリスクがあります。自分の体感を過信しないようにしましょう。窓を開けても熱風が入ってくるような暑さのときは、ためらうことなくエアコンを使用して快適な室温を保ちましょう。また、周囲の人が気にかけることも大切です。

令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況

▼ココが知りたい
○熱中症特別警戒(ねっちゅうしょうとくべつけいかい)アラートの情報(じょうほう)にご注意(ちゅうい)
暑さ指数が33以上になると熱中症の危険性に対する気づきを促すため、気象庁と環境省が共同で「熱中症警戒アラート」を発表します。さらに、広域的に過去に例のない暑さとなり、より深刻な健康被害の発生が想定される場合には「熱中症特別警戒アラート」を発表します。発表された場合は、よりいっそうの熱中症予防行動を徹底しましょう。
暑さ指数や警戒状況については環境省熱中症予防サイトに掲載されています。
環境省熱中症予防サイト:【URL】https://www.wbgt.env.go.jp/

■熱中症ゼロをめざして この夏(なつ)、今(いま)からできる対策(たいさく)は
▼まずは身近(みぢか)な予防(よぼう)から
今から備えることにより、熱中症を未然に防ぎましょう。

○予防01 汗(あせ)をかく練習
うまく汗をかけないと、暑さに見合った放熱量が得られず体内に熱がこもってしまいます。日ごろから無理のない範囲のウォーキングなどで徐々に暑さに体を慣らすことが重要です。また、しっかりと湯船に浸かって汗をかくことでも効果は得られます。
・無理のないウォーキング
・湯船に浸かる…入浴をシャワーで済ませないことがポイント!

○予防02 水分(すいぶん)をとる
日ごろのこまめな水分補給でも「まだ足りない」くらいの意識で意識的に飲む回数を増やしましょう。目安は食事を含めてコップ1杯分を1日に8回です。水分は食べ物からもとれるため、しっかり1日3食とることも大切です。
・8回/1日

○予防03 体を冷(ひ)やす
冷たい飲料や食べ物を摂取することで体内の温度を下げる「内部冷却」と、エアコンや冷水浴、アイスパックなどを使って皮膚の温度を下げる「外部冷却」を合わせて使うことが効果的です。ただし、全身を冷やすと血管が収縮し体内の熱が逃げづらくなり逆効果になることもあります。脇や首筋などを重点的に冷やすようにしましょう。
・脇や首筋などを冷やすと効果的
・我慢せずエアコンを使う

▼熱中症から身を守る4つの工夫
○01 室内(しつない)の工夫
・エアコンや扇風機を使って、室温は28℃を超えないようにする
・遮光カーテンやすだれを利用し、日差しをさえぎる
・風通しをよくする
・こまめに室内環境をチェックする

○02 外出時(がいしゅつじ)の工夫
・日傘や帽子を着用する
・日差しが強い日は日中の外出を避ける
・休憩はこまめにとる
・こまめに水分補給をする
・日陰を選んで歩く

○03 衣服(いふく)の工夫
・通気性と速乾性を考慮する
・襟元をゆるめるなど、風通しを良くする
・熱を吸収しやすい黒色の衣服を避ける

○04 日常生活(にちじょうせいかつ)の工夫
・たくさん汗をかいたときは、塩分の補給を心がける
・食事、睡眠をしっかりとる
・冷却グッズを活用する