くらし 人権尊重社会を実現させるために~7月の同和問題啓発強調月間に寄せて~

■人権尊重社会(じんけんそんちょうしゃかい)を実現(じつげん)させるために
~7月(がつ)の同和問題啓発強調月間(どうわもんだいけいはつきょうちょうげっかん)に寄(よ)せて~

▼節目の年、節目の月
今年は戦後80年の節目の年。
世界を巻き込んだ凄惨な大戦を経験し、その痛烈な反省のもと自由・平等・命の尊厳などを謳った「世界人権宣言」が1948年に採択されました。しかし、現在も戦火が収まることなく、小さな子どもたちも犠牲になっている現実があります。加えて自国ファーストや自分だけよければという風潮が芽吹いていることも報道されています。
このような現代社会だからこそ、お互いの基本的人権を尊重し合い、自他ともに豊かに生きていくことができる社会づくりに努めていきたいですね。
さて、本年も同和問題啓発強調月間を迎えました。この月間を通して私達は多くのことに気づき、考え、行動していくことを学んできました。
今年も、私達自身の命と人権について考えていく節目の月としていきましょう。

▼連続テレビ小説の中で
昨年前期の連続テレビ小説は「虎に翼」でした。日本の法曹界の女性先駆者をドラマ化したものですが、その場面にしばしば映し出されたのが次の憲法14条の平等権(差別されない権利)の条文でした。

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

この条文がクローズアップされた実際の裁判がありました。

▼発覚50年
同和問題に関して、今年は同和地区の所在などが記された「部落地名総監」という図書の使用が発覚して50年の節目にあたります。
この図書は当時、企業が就職時や昇進時に同和地区の人を差別選別する資料として使われていました。また、個人でも結婚などのときの身元調査として使われていました。これらの差別行為は、当時、社会的に大問題となり、法務局を中心に回収されました。
ところが、2016年に、この図書の元となった「全国部落調査」の復刻版がネットを使って販売や公開されようとしていることが発覚しました。この行為は、差別のバラマキにつながるとして訴訟問題となりました。
そして、8年間の係争の末、昨年12月、最高裁判所の判断がでました。その内容は、第二審の東京高等裁判所の画期的な判決の
「ネットに載せることは、憲法13条で保障されている幸福追求の権利や憲法14条の差別されない権利の侵害にあたり許されない」を認めるというものでした。
この判決は、朝ドラ同様、改めて私たちに「差別されない権利」を尊重することを意識させるものとなりました。
本市でも、同和問題のみならず、さまざまな解決しなければならない人権問題が存在します。もう一度、一人ひとりの命の尊厳を認め合い、自由や平等などの権利を尊重し、自他を大切にする人権尊重社会を実現させていきましょう。

▼強調月間の主な取り組み
○同和問題講演会
日時:7月19日(土)、13時~
場所:筑紫野市文化会館
内容:演題「現代社会の部落差別を考える」
講師:阿久澤麻理子さん

○街頭啓発
日時:7月1日(火)、18時~
場所:市内のJRおよび西鉄の駅前
日時:7月11日(金)、18時~
場所:市内大型商業施設前

○人権問題に関する書籍の紹介
期間:7月1日(火)~31日(木)
場所:市民図書館特設コーナー

○人権ポスター・標語の展示
期間:7月16日(水)~30日(水)
場所:生涯学習センター

○「人権メッセージ」募集!
皆さんからあたたかい作文や標語、写真などを募集しています。
締切:7月31日(木)

申込み・問合せ:教育政策課