くらし 令和7年度施政方針(9)

2つ目の「高齢者等支援パッケージ」には2億円余りを計上しております。高齢者等に積極的な支援を行います。
具体的にはまず、「帯状疱疹予防接種事業」についてです。
帯状疱疹は、加齢、疲労、ストレスなどによる免疫力の低下等が原因で発症し重症化することもあります。また、心筋梗塞や脳卒中のリスクを増加することも知られており、本市はいち早く令和4年より助成を始めました。令和7年度からは65歳以上の定期予防接種を開始し、病気の発症や重症化を抑え健康で安心して暮らすことができるよう取り組んで参ります。
次に「窓口におけるコミュニケーション支援システムの導入」についてです。
聴覚障がい者や難聴者等が市役所窓口で円滑なコミュニケーションを取ることができるよう、音声を認識して文字をディスプレイに表示する機器を導入し、障がい者等がいつでも安心して窓口に来庁することができる環境を整備して参ります。
次に「介護のしごと魅力発信・人材確保定着事業」についてです。
介護ニーズが高まる一方で介護人材の不足が生じており、安心した介護サービスを提供するために介護のしごとの魅力を発信するとともに、介護事業所の人材確保策に対する支援を行うなど介護人材の確保・定着を図って参ります。
次に「軽度・中等度難聴者の補聴器購入助成」についてです。
難聴は、必要な音が聞こえず家族や友人とのコミュニケーションをうまくとることができずに社会的に孤立しうつ状態に陥ることもあるなど様々な社会生活に支障をきたします。特に高齢者は、聴覚機能の低下は認知症発症リスクが高まると考えられております。令和7年度より、18歳以上で身体障害者手帳の交付対象とならない軽度・中等度の難聴者に対する補聴器の購入費用の助成を行い、コミュニケーション支援及び社会参加などを促進して参ります。
その他にも、住宅等防犯対策事業、骨粗鬆症検診事業、肺がん検診事業、認知症理解の普及啓発事業、敬老事業、シルバー人材センター支援、老人福祉センター事業、高齢者運転免許証自主返納支援事業、元気づくりポイント事業、長寿クラブ活動支援、予防接種事業、地域介護予防活動支援補助金上限額の見直し、アピアランスケア推進事業などの予算も活用して参ります。
3つ目の「人権・多様性の確保パッケージ」には8千万円余りを計上しております。あらゆる市民の人権や多様性を保障します。
具体的にはまず、「人権尊重のまちづくりの推進」についてです。
全ての市民が不当な差別を受けることなく、個人が尊重され、いきいきと暮らすことができる人権尊重のまちづくりを引き続き推進します。
次に「女性が少ない分野のジェンダーギャップ解消事業」についてです。
理工系分野を含めた女性が少ない分野への女性の興味・関心を高め、進路・職業選択における固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消を図りながら、将来を担う女性人材の裾野の拡大に取り組んで参ります。
次に「子宮頸がん・乳がん個別検診事業」についてです。
女性のライフスタイルが多様化する中で、多くの人が受診しやすい検診を実施し、選択肢を広げることでがんの早期発見・死亡率の減少を目指して参ります。
その他にも、第3次男女共同参画プランの推進、女性相談事業、男女共同参画推進センタールミナスの充実、外国人への支援、障がい者プラン策定、地域福祉計画策定、軽度・中等度難聴者の補聴器購入助成、福祉タクシー料金助成事業、医療的ケア児等在宅レスパイトケア支援事業、バリアフリー情報・施設整備事業、窓口におけるコミュニケーション支援システムの導入などの予算も活用して参ります。

■結びに
以上、楠田市政二期目最終年度の集大成・総仕上げとして、第2期総合戦略の4つの構想・戦略とそれに基づく二期目公約に加え本年度新たに位置付けた市政積年のもしくは社会先進的な課題の解決に向けた5つの最重点事項(3つの柱と2つの底流)を有機的に組み合わせた「好循環を次代につなぐ集大成予算」について説明してまいりました。
時間の限りもあり、市政積年のもしくは社会先進的な課題の解決に踏み出すための最重点5項目をもとに説明して参りましたが、予算説明資料の世代・カテゴリ別予算額で分類しておりますように、あらゆる世代や立場の方々に居場所と出番があるよう満遍なく行き渡ることも意識した予算となっております。
結びになりますが、本予算案の一つにセブン銀行ATMの設置があります。2年余り前JAの事情に従いやむなくATM撤去に同意したのですが、その後の市民の利便性の低下を考えればもっとやりようがなかったものかとずっと後悔してきました。今回その復活が別の形であれ実現し、胸を撫で下ろしています。
同じようにいま、地域公共交通を始め先方事情や財政状況、人員不足などにより市民サービスが脅かされるケースが増えつつあります。西鉄という相手がある話なのでなどと言い訳していては、本当の意味で世の為人の為に持ちうる力を出し尽くしているとは言えないと自らを鼓舞しながら頑張って来ました。
市をあげてさまざまなレベルで路線の存続を求め粘り強く協議を重ねてきた結果、何とか一年は延長する方向となりましたが、今後も予断を許しません。我々公僕としての厳しい宿命ではありますが、その任にある限り相手がどんなに強大であっても、市の為市民の為に立ち向かって行かなければなりません。
そして最後は、次代を担う子どもたちの為にと思い定めています。スケボーパークにせよバスケのゴールにせよブランコにせよ、子どもたち一人ひとりからの期待を受け、力の限り頑張りぬき、信頼に応えることこそ政治家・市長として、大人として、そして人としての究極の使命、やりがいだと信じています。
つまりはこの言わば「信頼関係の好循環」こそ最も次代につなぐべきことだと考えます。もちろん今回の予算案施政方針でも限界があるかもしれませんが、私のいま持ちうる力は一定出し切ったとの思いもあります。議員各位、市民の皆さまのご理解ご協力を伏してお願い申し上げ、施政方針の結びと致します。