- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県太宰府市
- 広報紙名 : 広報だざいふ 令和7年5月1日号
■心のものさし(1)〜手と手をつなぐ〜
本年度、この「手と手をつないで」の執筆を担当することになりました。5年前まで小学校の教員をしていて、その38年間のうち13年間、太宰府市内の小学校に勤務していました。子どもたちと共に喜び、悩み、時に涙したことを懐かしく思います。また、太宰府では教員として人権問題・同和問題についてたくさんのことを学びました。この連載の中で、人権問題・同和問題の今を太宰府市の皆さんと共に考え、学びたいと思っています。1年間どうぞよろしくお願いします。
さて、テレビ放送のあるニュースで女性のバス運転士さんが仕事への意気込みを「女性らしく、やわらかな運転を心がけたい」と話していました。「女らしさ」「男らしさ」とは、いったい何なのでしょう。「らしさ」には、女性とはこういうもの、男性とはこういうものという見方・考え方が見え隠れします。
私たちは一人一人、心に「ものさし」をもっています。人や物事への見方・考え方のことです。心にあるものさしは、自分にとっての「あたりまえ」「ふつう」と言いかえてもよいかもしれません。「〇〇するのがあたりまえ」「ふつう〇〇だよ」と言ったことがありませんか?私もその一人です。その「あたりまえ」は人によって違っています。生きてきた時代や環境・学び・経験・出会いなどは、人それぞれ違うからです。ただ、時として、私たちの心の中にある「あたりまえ」は人を苦しめてしまうことがあります。「あたりまえ」は、決めつけた見方・考え方をさせ、予断や偏見につながることがあるのです。
連載「手と手をつないで」というタイトルについて、私は違いを排除するのではなく、近づく努力をして同じ風景を見る一瞬を積み重ねていくことだと解釈しています。
本年度の連載が、さまざまな角度から人や物事を見つめる機会となればと考えています。また、このページが「多様であることがあたりまえ」という「ものさし」を持つためのヒントになるように皆さんと考える場にしたいと思っています。
山本(やまもと)信哉(しんや)
(元小学校教諭)