くらし シリーズ人権を考える(309) THE HUMAN RIGHTS

◆あなたのまわりに、このような人はいませんか?
・ホストクラブでの借金返済のために売春をさせられている。
・家出をした児童が生活費などを名目に金銭を要求され、性的サービスをさせられている。
・外国人技能実習生が最低賃金未満で長時間労働させられている。
これらは人身取引です

人身売買や臓器売買などのイメージが強いため、海外でだけのことだと思っている人がいるかもしれません。しかし、これらは国内でも数多く発生している人権侵害なのです。

◆「人身取引」とは
「人身取引」とは、搾取(さくしゅ)を目的として、暴力や脅迫、誘拐、詐欺などの手段を使って支配下に置いたり、引き渡したりして、売春や性的サービス、労働などを強要する犯罪です。このような手段を使わずとも、対象が18歳未満の場合は人身取引とみなされます。
国が策定した「人身取引対策行動計画2022」では、「人身取引は重大な人権侵害であり、人道的観点からも迅速・的確な対応を求められている」と述べられています。

・詳しくはこちら
※QRコードは広報紙をご覧ください。

◆国内の状況
2023(令和5)年、日本人50人・外国人11人の計61人(男性10人・女性51人、うち18歳未満の児童37人)が被害者として保護されました。
ダメージが大きく気力を失っている人、家族に危害が及ぶことを恐れている人、手口が巧妙なため搾取に気づいていない人など、さまざまな理由で周囲への相談や被害の申し出ができずにいる人も多いため、実際の被害者はさらに多いと予測されます。
日本では、1980年代以降、主に東南アジアの女性たちを興行ビザで来日させ、風俗業での労働や売春行為を強要することが多発し、国際社会からも多くの非難を浴びました。このことから2004年に「人身取引対策行動計画」を策定し、人身取引の防止・撲滅と被害者の保護に取り組んでいます。しかし、売春の強要や東南アジアなどに赴いての買春行為、外国人技能実習生への人権侵害事象など、被害は依然としてなくなっていません。

◆人身取引かもと思ったら
人身取引と疑われる人を見たとき、相談や助けを求められたとき、また、あなた自身がそのような状況になったときは、迷わず最寄りの警察署に連絡してください。
警察庁では電話やインターネットによって匿名で通報できる「匿名通報ダイヤル」でも情報を受け付けています。
・匿名通報ダイヤル
【電話】0120・924・839
国では、人身取引の被害者を女性相談支援センターなどで保護し、外国人の場合は、在留特別許可を与えるなどの法的地位の安定性を図ったうえで、帰国後まで支援するなどの取組を行っています。
もしあなたの身近に被害者がいたら、安心して保護を求めるように伝えてください。

◆人身取引をなくすために
人身取引は重大な人権侵害であり、世界中で起きている深刻な問題です。私たち一人ひとりが人身取引について知り、自分事として考えることで、自分の周りの困っている人、助けを求めている人に気づくことができるようになります。
また、万が一被害を受けたときにも、学んだことが、自分の心身や人権を守ることにつながります。これはすべての人権課題について言えることです。

一人ひとりの人権が大切にされる社会の実現に向けて、これからもいっしょに学んでいきましょう。

問合せ:人権センターWith(ウィズ)
【電話】942-1128

◆2024年度 人権標語
※詳しくは広報紙をご覧ください。