- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県古賀市
- 広報紙名 : 広報こが 2025年8月号
『第二幕 開演!』
光永 祐香里(みつなが ゆかり)さん
(ユカリクラシックバレエ代表・いけばな小原流家元教授・ボディコンディショニング講師・古賀市文化協会理事)
一点の後悔がある。大学の推薦を貰っていたことで、宝塚への憧れを持ちながらもチャレンジをしなかったことだ。教え子の秋音光(あきねひかる)さん(古賀市ふるさと大使)が同じ状況になったとき〝後悔をしてほしくない〟と光さんのご家族に自身の経験を重ね合わせて話をしたことがあった。秋音さんの宝塚入団は、叶わなかった自分の夢の成就でもあった、と感謝を口にした。
小さいころから母親が連れて行ってくれたバレエやミュージカル。手ずから教えてくれた華道。今の自分は、親が見せ聞かせ経験させてくれたものでできていると言う。舞台への強い憧れからバレエを始めたのは6年生の時。かなり遅いスタートだった。悔しい思いもたくさんしたが、「踊ることが好き。上手になりたい」という気持ちが今に続く道を長く繋いでくれた。
ユカリクラシックバレエは30周年を迎えた。年齢的には踊らない指導者も多いが、記念公演では何年かぶりにトウシューズを履いた。もちろん若いころの踊りとは違うけれど、それでも舞台に上がったのは、言葉だけでは教えられない心に触れる何かを感じ取ってほしかったから。「バレエの技術だけを磨く人が多いけれど、機械的に踊ることはAIが代わりにやれてしまうかもしれない。逆にテクニックがなくても人を感動させることは可能だと思う」。それを学んでほしくて今年『表現クラス』※を開設するそうだ。
「自分の個性や良さを自ら感じて、それを表現してほしい。踊りだけでなく、歌でも写真でも文章でも自分の好きな手段で表現して、人に喜んでもらうことで幸せを感じる人になってほしいと思っているんです」
公演後、子どもたちから親御さんへの手紙を書いてもらった。振り返ることで、家族の協力があってこそ舞台ができあがったことや、自分がいかに周りに支えてもらっているかを改めて実感してほしかったからだ。将来、バレエから離れたとしても大切な何かがきっと残る。それは、その先の人生の指針や力やヒントになると思うから。習い事だから上手になることは必要だが感謝の気持ちを忘れずに続けることが一番大切なのでは、と彼女は言う。
感情豊かな表現と人とのつながりを大切にするバレエ教室の第二幕が始まった。「体の続く限りやろうと思う」。凛とした姿は美しかった。
※表現クラス:豊かな表現力を育む教室。不定期にさまざまな方面で活躍する卒業生を講師に迎える特別レッスンあり。
ユカリクラシックバレエ
所在地:花見南2-27-27
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