健康 (特集)今からはじめるフレイル予防(2)

■現役医師が語る、フレイル予防において大切なこと
整形外科 八尋整形外科医院(医療法人ワイ・エム・エス)八尋和彦医師
筋肉や骨は、加齢により次第に衰えていきます。しかし、人はそれを自覚することができません。だんだんと筋力が落ちていることに気付くことは、大変難しいのです。加齢とともに、頭で思い描く肉体と実際の肉体との間にギャップが生まれ、それは月日とともに開いていきます。自分ではできると思っていたことが、思うように体が動かせずできないということが起こります。このギャップにより転倒やけがをしてしまい、場合によっては入院が必要なほどの大けがを負う人もいます。
筋肉や骨は、必要とされていない場合、無駄に強くあろうとしませんし、使われないとさらに弱くなっていきます。骨は負荷をかけ続け、筋肉は使い続けることが大事です。何より、自分の意思で動かすことが大切です。例えば、適切な指導を受けたとしても、自身で動こうとしなければ意味がありません。「筋肉を動かす」という指令を脳から筋肉に伝え、自分で収縮させましょう。
こうして筋肉を使うために運動をすることで、骨にも負荷がかかり、同時に強くなってくれる効果も期待できます。ただ、これは急にやろうとしてもなかなか習慣化できず、長続きしないことが多くあります。「運動」という言葉に拒否反応が出る人は、運動だと意識せずに、生活の中で体を動かすことを取り入れてみませんか。ちょっと先のバス停まで歩いてみる、エレベーターではなく階段で上ってみるなど、生活の動作の中で、筋肉の収縮を意識してみましょう。この小さな意識の変化も、将来に向けたフレイル予防になります。
今、フレイルの実感がない人、まだ先の話と思っている人も多いと思いますが、年齢を重ねれば筋力は落ちますので、運動への意識を向けることで、将来的なフレイルを予防できます。今できることから始めてみましょう。

■フレイルを予防するには
「運動」「良い食事」「社会参加」の3つの習慣が大切です

◇運動習慣を身に付けよう
青信号の間に横断歩道を渡り切れていますか?
階段を上ったあと、息は切れていませんか?
体を普段より10分多く動かすことを意識するだけでフレイル予防になります。それだけでなく、感情や気分が安定する、疲れにくくなる、睡眠の質が向上するなどのメリットが多くあります。
ウオーキングやちょっとした筋力トレーニングなど、最初は気負わず、できる範囲でやっていきましょう。
その運動の積み重ねが未来の自分の体をつくります。志免町では、自宅で取り組める「貯筋運動」や健康体操などホームページに掲載していますので、ぜひご覧ください。

◇レッツウオーキング!
まずは歩くことからはじめてみませんか。

Q三日坊主にならないコツはありますか?
A以下のポイントを意識してみてください
(1)一緒に歩く仲間を見つける
(2)まずは「足踏みでもOK」と軽く考える
(3)外出頻度や外出時間を増やしてみる
(4)毎日続けなくても大丈夫
(5)活動記録を見える化する

「前よりも長い距離を歩けるようになった」など、変化が可視化されると、「やったらできた」という自信がつき、さらにやる気の向上につながります。
「ふくおか健康アプリ」は歩数などを記録できます。アプリでは歩数に応じたポイント付与や、協力店でのポイント利用など楽しく続けられます。

外出のきっかけに、志免町の町花でもある桜を見に歩きに出ませんか?ライトアップしている場所もあります。

◇バランスよく食べよう
フレイル予防で特に重要な栄養素は、筋肉の素となるたんぱく質です。また、筋肉をつけるためには、たんぱく質以外にビタミンも必要なため、バランスよく食べましょう。

〇管理栄養士おすすめレシピ
「さけのケチャップ甘酢あんかけ」
(1人分 エネルギー 191kcal、塩分 0.8g)

魚(特にさけ)には、たんぱく質のほか、骨の健康に必要なビタミンDが豊富に含まれています。
同じ物ばかり食べるのではなく、肉・魚・卵・大豆製品といろいろな食品からたんぱく質をとりましょう。

(材料(4人分))
さけ…240g
こしょう…少々
片栗粉…大さじ1と1/3
切り干し大根…24g
切り干し大根戻し汁…250ml
ピーマン…小1個
玉ねぎ…40g
にんじん…10g

(A)
ケチャップ…40g
しょう油…・小さじ2
酢…小さじ2
みりん…大さじ1と1/3
こしょう…少々

水溶き片栗粉(片栗粉…小さじ1、水…小さじ1)
油…小さじ2

(作り方)
(1)切り干し大根はさっと洗い、15分程水で戻して3~4cmの長さに切る。
切り干し大根の戻し汁はとっておく。ピーマン、玉ねぎ、にんじんは千切りにする。
(2)さけを食べやすい大きさに切る。水気をふきとり、こしょうをふって片栗粉をまぶす。
(3)フライパンに油を熱し、さけを炒め取り出した後に(1)の野菜を炒める。
(4)切り干し大根の戻し汁、Aの調味料を入れてさらに煮込む。
(5)さけをフライパンに戻し、煮込んだ後に水溶き片栗粉でとろみをつける。

問い合わせ:健康課健康づくり係
【電話】935-1484

◇図書館おすすめ紹介
この一冊でフレイル予防

〇30秒で体力がつくスゴイもも上げ
吉原潔 著(アスコム)
体力の低下は筋力の低下。筋肉を増やすには筋トレが一番。1日30秒で気合ゼロでもできて、体力=筋力がしっかりつき、有酸素運動の効果も見込める、「スゴイもも上げ」を紹介。

〇高たんぱく質レシピ151
主婦の友社 編(主婦の友社)
たんぱく質をしっかりとって、筋肉量が増えれば、基礎代謝が上がって太りにくくなる。塩麴鶏ハム、豚肉の南蛮漬け、さばそぼろ丼、ピリ辛豆腐など、1品でたんぱく質を15g以上とれるレシピを豊富に紹介。

特設コーナーも設置中です。
ぜひお立ち寄りください。