健康 (特集)今からはじめるフレイル予防(3)

■つながろう、社会と わたしは、きっとひとりじゃない。
1期目の民生委員義間れいこさんと、とある高齢男性の一日に密着しました。

小春日和の穏やかな陽ざしが心地よい冬の午前。笑い声の響く別府文化センターの一角に、少し戸惑いながら座るMさん(88歳)の姿がありました。初めて町内会行事「食べて、語ろう」に参加したMさん。きっかけは民生委員の義間れいこさんの温かい声かけでした。

◇義間さんやったけん
「この歳で新しい場に行くのは気がひける。知り合いもおらんから」
仕事一筋で暮らしてきたこともあって、これまで地域の行事には興味を持っていませんでした。8年前にパートナーを亡くしてからは一人暮らし。日々、一人でテレビを見たり、庭の野菜の世話をしたりして過ごすことが多かったそうです。
そんな中、「少し顔を出すだけでいいから」と、この会に何度も誘ってくれたのが民生委員の義間さんでした。
「こないだ、転んで腰を骨折してしもうて。入院したんやけど、義間さんが手続きから庭の水やりまで、たくさん良くしてくれたんよ。そんな人の頼みはなかなか断れんね」とMさん。

◇初めての町内会行事
会が始まっても、Mさんの表情は硬いまま。黙々と目の前のテーブルに並ぶお菓子を食べていました。しかし、オカリナ演奏や盛り上がるビンゴ大会が次第に緊張の糸をほどいてくれました。知人との数十年ぶりの再会というサプライズもあり、イベントが終わるころには柔らかい表情に。帰りがけには、隣に座っていた女性とお菓子とビンゴ大会の景品を交換する姿もありました。
イベントに参加した人は「みんなとなんでもない話をするのが楽しい」と口をそろえます。一人で来ても、周りの人が声をかけたり、気にかけたりして、顔見知りの人が増えていくそうです。
帰り道に「また来たいですか」と尋ねると、「気分が向いたら」と答えるMさんでしたが、その日のことを義間さんに話しながら帰るMさんの横顔は、どこか充実した様子でした。

◇新たな一歩
「誰でも最初の一歩を踏み出すのは勇気がいりますよね。Mさんが一歩踏み出してくれてよかったです。私にできることって、この一歩を後押しすることなのだと再確認しました」と、義間さんは会の後に話してくれました。一方で、上手くいくケースばかりではないと続けます。
「仕事一筋でやってきた人ほど、人に頼ることは恥ずかしいという感覚が強く、なかなか心を開いてくれない方もいらっしゃいます。話を聞いてもらえず、門前払いされる日も、『世話好きだね』と冷ややかに言われることもあります。特に私はまだ1期目なので、毎日が手探りです。だからこそ、今日、Mさんが一歩踏み出してくれたことは新人民生委員の私にとっても新たな一歩になりました。大変な役割だけど、誰かのきっかけになれるのはありがたいことです。これからも地域との架け橋になるため頑張りたいです」

◇民生委員は身近な存在
最後に、義間さんはこんなメッセージをくれました。「民生委員と聞いて、どんなイメージをお持ちですか。私も以前は、民生委員って、なんだか遠くて特別な存在だと思っていました。でも実際は、人と関わることが好きという理由で活動している、私のような民生委員もいます。どうか遠い存在だと思わずに身近に感じてください。まずは一緒に世間話をしましょう。そして困りごとがあったら、気軽に相談してください」

◇つながろう、社会と
あなたの地域にも、義間さんのような温かい心を持った民生委員さんが必ずいます。困ったときは一人で抱え込まず、声をかけてみてください。
人と話すこと、そして社会とつながることは、最初は難しいかもしれません。しかし、それはきっとフレイル予防につながります。フレイルの方にとっても、非常に有効な対策のひとつです。人生100年時代を、誰もが自分らしく豊かに生きていけるように、できることから始めてみましょう。

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