文化 多久市の指定文化財(8)

ー両子(ふたご)神社の肥前鳥居(ひぜんとりい)ー [市重要文化財]
東多久町大字納所二七四六番地(両子神社)

東多久町大字納所平林(のうそひらばやし)区に所在する両子神社は、明治43年(1910)に両子山王権現(さんのうごんげん)社と湯峯山熊野(ゆのみねざんくまの)権現社が合併された神社です。多久領の地誌『丹邱邑誌(たんきゅうゆうし)』によると、両子山王権現社は長徳(ちょうとく)元年(995)に秋田納所次郎豊次(とよつぐ)と豊忠(とよただ)が両子山雄岳山頂に創建し、のち現在地に移され、湯峯山熊野権現は秋田宮内大輔豊定(くないたいふとよさだ)が創建、現大畑(おおはた)区から移転合祀したと伝えます。
秋田豊定は天徳(てんとく)元年(957)に公田(こうでん)管理の勅命(ちょくめい)があり当地に赴任した代官で、年貢(ねんぐ)を納める地の意味から納所氏に改姓し、地名のもとにもなっています。
両子神社参道にある一の鳥居と二の鳥居は安土桃山時代から江戸時代初期に造られた肥前地方独特の様式の肥前鳥居であり、多久領主2代茂辰(しげとき)と3代茂矩(しげのり)(後多久家)によって熊野権現に寄進されたものです。どちらも笠木(かさぎ)・島木(しまぎ)が一体的で貫(ぬき)と柱を含め3本継ぎ構成で肥前独特の形態であり、肥前鳥居の初期の特徴を持つことから、2基とも昭和58年に多久市重要文化財に指定されました。
(教育振興課)