健康 みんなの健康

◆8020運動と健康寿命
すみ歯科医院 院長 角 徹先生

2022年の平均寿命は女性87.09歳、男性81.05歳です。一方、健康的な日常生活ができる健康寿命は女性75.45歳、男性72.57歳であり、平均寿命とのかい離が課題となっています。
このかい離の主因は要介護であり、その原因の1位は認知症、2位は脳卒中、3位は老衰、4位は骨折・転倒、5位は関節疾患であることが2019年度の国民生活基礎調査で明らかにされています。これらの原因を予防することが、健康寿命の延伸に欠かせません。
そこで、国では社会の活力を維持するために「健康寿命延伸プラン」を作成しました。そのプランには、歯の健康の維持が健康寿命の延伸に重要な役割を果たすことが盛り込まれています。
愛知県で行った調査によると、自分の歯が19本以下で義歯を使用していない人は、20本以上残っている人と比較して、認知症の発症リスクが最大1.9倍になると報告されています。また、歯が19本以下で義歯を使用していない人は、20本以上保有している人と比較して、転倒リスクが2.5倍になるという論文も発表されています。20本以上の歯を保つことが、認知症や転倒リスクの予防に重要であることがわかってきました。
1989年(平成元年)、厚労省と日本歯科医師会は、8020運動(80歳で20本の歯を保つ健康づくり運動)を行ってきました。厚労省の統計によると平成5年度8020達成率は10.9%でしたが、令和4年度は51.6%に改善しています。80歳になっても自分の歯で食事を楽しめるように20本の歯を残そうという主旨で始まった8020運動が、時を超えて、健康寿命の延伸の寄与に重要な役割を果たしていたのです。
大村市では「おおむら健康・福祉まつり」の一環として「8020コンテスト表彰式」を平成24年度から継続して行っています。優秀者への表彰と8020達成者への認定証配布を行い、8020運動を通じて市民の健康で長生きを推進しています。今年度も、皆さんの応募をお待ちしています。