子育て 子育てに寄り添う島を目指して(1)

1年間に対馬で生まれる子どもの数は約130人。この島で健やかに育ってほしいと思うのは、全ての島民の願いではないでしょうか。一方、人口減少や高齢化の波が押し寄せる対馬で、子育てをするには大変な場面も多くなってきています。どうすれば、子どもたちが健やかに育つ島にすることができるのでしょうか。市や地域の皆さんの取り組みを紹介します。

■「孤育(こそだ)て」を知っていますか?
核家族化や、地域の人たちとの関わりが薄くなった現代において、親族の協力が得られず、近所との付き合いもない中で子どもを育てている状態を「孤育て」と呼びます。育児の責任を母親や父親ひとりで背負い込み、子どもの世話に追われて、外出はもちろん、身だしなみなど、日々の暮らしにも支障が出る状態が続くと、心身の不調をきたすだけでなく、子どもへの虐待など、大きな問題に発展する可能性があります。

■対馬が孤育ての島になる可能性も
▽対馬市の世帯比率

令和2年 国勢調査

人口減少や高齢化が進む対馬では、これまでのように、同じ家に暮らす複数の大人が関わって子育てを行うことが難しくなっています。令和2年の調査を元にすると、約1万3千世帯のうち、一人暮らしや高齢の夫婦だけの世帯は半数以上にのぼります。家の中に子どもがおらず、直接子育てに関わることのない世帯が増えることは、社会と、子育てに携わる人たちとの接点がなくなることを意味しています。子どもを抱えたお母さんやお父さんを孤立させないためにも、住民一人一人が関わった新たな仕組みづくりと行動が求められます。

■妊娠から出産、子育てまでを地域全体でサポートする
国は、子どもや若者の権利が保障され、健やかな成長を社会全体で後押しすることで、将来にわたって幸せに生活できる社会を目指す「子どもまんなか社会」の実現にむけ様々な施策を行っています。その中で、医療機関や子育て支援施設、行政や民営の支援拠点など、子育てに関わる部署が協力して支援する体制を、地域単位で作ることが求められており、対馬市では令和3年4月に子育て世代包括支援センター「つしまっこすくすくセンター」を立ち上げました。センターに所属する保健師、栄養士、その他の職種が関わって子育てを行う一人一人に寄り添った、切れ目のない細やかな支援を目指して活動を行っています。