文化 【特集】対馬の資源は誰のもの?(1)

私たちが暮らす対馬は、太古の姿を今に残す原生林や、複雑に入り組んだリアス海岸など、豊かな自然に恵まれた島です。こうした環境の中で、ツシマヤマネコをはじめとする、対馬ならではの生きものたちが、独自の生態系を育んできました。この自然の恵みとともに、対馬の人々は昔から自然に寄り添い、知恵を持って活用しながら、暮らしを営んできました。そして今、自然と人との関わりが育んできた歴史や文化は、対馬ならではの大きな魅力となり、多くの人々を惹きつけています。観光に訪れる人も年々増え、島の魅力を体感する機会が広がっています。
一方で、人口の減少や高齢化といった大きな課題に直面しています。「自然とともに生きる暮らしが続けにくくなり、この島の本来の魅力が少しずつ失われてしまうかもしれない――」そんな不安も抱えています。
だから今こそ、立ち止まって考えるときです。私たちが受け継いできた自然や文化をどう守り、どう次の世代へつないでいくのか。これからの対馬のあり方をみんなで一緒に考えていきましょう。

●龍良山
原始林として残され、天然記念物となった山を傷付ける行為が横行している

●浅茅湾
養殖や漁業など生業の場所としての海と、マリンレジャーフィールドとしての共生が課題

●白嶽
地域の信仰の場所として人々が開いた山道が、人口減少や異常気象によって荒廃している

●ツシマヤマネコ
観察者の増加による、ツシマヤマネコや地域への負担が増えている