- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県波佐見町
- 広報紙名 : 広報はさみ 令和7年2月号
◆冬季の入浴は気をつけよう!
長崎川棚医療センター 脳神経外科 戸田啓介
寒い日々が続いています。気温の変化によって血圧が上下する事で心臓や血管の疾患が起こる事をヒートショックといいます。この血圧の乱高下に伴って、脳内出血、大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な病気が起こります。また、入浴中の突然死は65歳以上の高齢者に多いことが報告されています。厚生労働省の「人口動態統計」によると、2023年の浴槽内および浴槽への転落による不慮の溺死・溺水は6909人だったと報告されており、その95%が65歳以上の高齢者が占めています。入浴中に心疾患・脳血管障害を生じないように、その結果溺れないように、今回は安全に入浴する方法について概説します。
◇入浴時の事故の原因
・ヒートショック…温かい浴室から脱衣所の冷たい空気に急に触れることで血圧が急激に変化し、心臓に負担がかかります。
・心疾患の悪化…高血圧、狭心症、心不全などの心疾患を持っている人が、入浴中の心臓への負担に耐えきれずに心停止を起こします。
・脳血管障害…ヒートショックが原因で脳卒中を生じ、意識を失い溺れます。
・低血糖…糖尿病を持っている人が、食事を抜いたりインスリンの量を間違えたりすることで血糖値が急激に低下し、意識を失い溺れます。
◇安全に入浴するには?
・浴室の温度管理…浴室と脱衣所の温度差を少なくする事で防止できます。特に冬場は暖房器具を適切に使い、浴室・脱衣所の温度管理を徹底します。
・入浴時間…長湯を避け、短時間で済ませた方がいいです。湯温は40℃以下が勧められています。
・水分補給…入浴前後はこまめに水分を摂りましょう。
・半身浴…全身浴ではなく、半身浴を心がける。シャワーの併用も可です。
・家族への声かけ…家族に入浴時の様子を見てもらう様にしましょう。
・浴室に手すりなどを設置…転倒防止に役立ちます。
◇まとめ
入浴時の事故は、適切な対策を行う事で十分に予防できます。特に冬場は浴室と脱衣所の寒暖差が大きくなるため、注意が必要です。ご自身の健康を守るため、これらの対策を心がけ気持ちよく入浴出来るようにしましょう。