くらし 菊池人(137) ~あなたは一人じゃないよ

■熊本県里親会副会長 芹川 幸良子さん
〔Profile〕せりかわ・さよこ
昭和42年1月12日生まれ。山鹿市出身。熊本大学教育学部を卒業後、菊池南中に英語教諭として赴任。結婚を機に退職するも菊池市を中心に非常勤講師として教壇に立つ。平成14年に里親登録後、短期里親や一時保護などで10人以上の子どもを預かる。平成29年~令和3年には市教育委員を務めた。里親家庭で育った子どもの自立支援をサポートする認定NPO法人「ブリッジフォースマイル」にも携わる。夫と大学生、中学生の子どもと4人暮らし。袈裟尾区在住。58歳。
〔里親制度〕
親元で暮らせない子どもを、自治体に登録した里親が原則18歳まで自宅で預かる制度。法律上の家族関係は生じず、受け入れ期間は子どもの置かれた状況で変わる。

「血のつながりがなくても何物にも代えられない大切な家族。たくさんの幸せをもらっています」。里親制度に出会って23年。傷ついた心と体をどう抱きしめ、育てたらいいのか―。自身も迷い、成長しながら日々、子どもとの絆を深めている。
大学卒業後、教員として生徒の成長に触れる充実した毎日。結婚後は4人の子どもを育てた。そんなある日、乳児遺棄事件のニュースを見て胸を痛めた。家庭の事情で高校時代を親族の家で育った自分のように、温かく迎えてくれる人、支えてくれる人に出会えれば。自らの経験も後押しし里親に登録。養育里親として子どもを迎え入れた。
ときには子どもとぶつかることもある。そのたびに苦しみ、考えた。「なんで私の思いが伝わらないの」。幾度にもわたる衝突で気付いたのは、愛情を積み重ねることの大切さ。「寄り添い、そばにいるだけでいい。ありのまま、全てを受け入れようと思いました」。支援から巣立った若者の自立にも気を配る。「後ろ盾のない中で、一度つまずくと仕事を、住む場所を失ってしまうこともある。そんな子たちの帰れる居場所をつくりたいです」と力を込める。
里親委託率が低い熊本県。命をつなぐ「受け皿」が少ない現状に危機感を持つ。「家族の病気や出産、育児疲れなどで短期間預かるだけでもいいんです。一歩踏み出すことで救える命がある。地域で子どもを育てるように、里親がごく自然にある社会を願います」

■「菊池人」希望者を募集します
新しいことに挑戦している人、伝統を受け継いでいる人など、菊池で頑張っている人を募集します。本市在住であれば自薦・他薦は問いません。詳しくは市長公室までお問い合わせください。

問い合わせ先:市長公室広報交流係
【電話】0968-25-7252