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- 自治体名 : 熊本県宇土市
- 広報紙名 : 広報うと 令和7年3月号
江戸時代の第8代横綱として知られる不知火諾右衛門(だくえもん)の出身地、宇土市栗崎町。この地に残るその墓所一帯を守り続ける活動が、10年を超える長きにわたって地域住民の皆さんの手で行われていることをご存知でしょうか?
かつて、木々が鬱蒼と生い茂り、人々が足を踏み入れることも少なかったこの場所は、今では市が誇る観光スポットとして生まれ変わっています。そして、その背景には、地元の皆さんが手を取り合って進めてきた熱心な保全活動がありました。
この活動が始まったのは11年前の2014年です。市指定史跡である墓所一帯の保全を目的に、地元の方々が、県や市の補助金を活用して整備に乗り出したのがきっかけです。その後、2020年には定期的な活動を継続的なものとするため保存会が結成されました。
植栽されたツツジやサクラ、見事に整った竹林、市内を一望する高台に置かれたベンチ。墓所を守る活動は、単なる史跡の保全ではありません。地域住民が自らの手で守り育ててきたこの景観は、歴史と文化、そして地域の誇りを未来へつなぐ取り組みそのものです。
また、偉大な横綱を輩出した宇土の地には、現在も相撲文化が息づいています。相撲大会で度々上位の成績を収める市内の小中学校の児童生徒。角界で活躍する市出身の現役力士たち。彼らの活躍がそのことを物語っています。この1月に十両昇進を決めた草野関(草野直哉さん、令和5年度学生横綱、初土俵は2024年5月場所)が、新十両として挑む大相撲3月場所(初日は9日(日))にも注目です。
さて、4月下旬から5月にかけ、墓所一体に植えられた約400本のツツジが見頃を迎えます。ぜひこの地を訪ね、保存会の皆さんが心を込めて整備されている景観を楽しんでいただき、相撲文化の息吹を感じてみてはいかがですか?
元松茂樹