くらし みんなで学ぼうじんけん

本田博通(ひろみち)地域人権教育指導員が学校で働いていた経験などから「じんけん」の今をお伝えします

■子どもの目線(1)
1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」は、子どもの保護や配慮を定めていると同時に、「権利の主体」である子どもを、おとなと同様にひとりの人間としてとらえます。
このお話は2年生の教室、浜辺の小学校でのことです。
ゆうじくんは帰りの会で、友だちから反省を求められることが多かった。わたしが担任してから、連日のように追及されていた。
わたしはその度に彼に言って聞かせたが届かず、同じことを繰り返した。そして、独りぼっちだった。
「夜、一人だったけん、となりに行っとった。」「めざましのでんちが、とれとったけん、起きれんだった。」と言う。
授業中も眠ってしまう。学校での行動は不安定な生活からきているのだろうと考えていたが、保護者とじっくり話す機会は先延ばしにしていた。
11月に入って、「おうちの人といっしょにしたこと」をテーマに作文の授業をした。その頃、ゆうじくんが日記に「おとうさんのとらくにのてみたらすこいたかかたよ」と書いていたので、声をかけるとたくさん話し出した。それを整理してあげると、彼は原稿用紙3枚に一気に書き上げた。
お母さんといっしょに晩ご飯を作ったこと、お父さんの長距離輸送トラックに乗せてもらったこと。二人の妹の姿も入れ、生き生きとした会話の文だった。その作文を手にわたしは迎えに来たお母さんに話しかけた。
わたしは学校での様子から家庭がその機能を失っているのではないかと思っていたと正直に話した。でも作文を読んで、そうではなかったことを知り話を続けた。
「料理の手伝いも出来るんですね。」と言うと、お母さんは、「ゆうじ専用の小さい包丁を持たせています。よく手伝ってくれるから。」とうれしそうだった。
しかし2月に入って、ゆうじくんは「くさい」と友だちに言われると訴えた。複数の子どもたちから、彼にだけ何度も繰り返される言葉だった。
続きはウキカラ5月号で

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