- 発行日 :
- 自治体名 : 大分県日田市
- 広報紙名 : 広報ひた 令和7年10月号
■「いただきます」を守る
食事を始めるときの挨拶として使われる、「いただきます」。この言葉は、単なる挨拶にとどまらず、私たちの命や人権に深く入り込んでいるものです。
「いただきます」には、食材の提供元となる自然や生き物、そして、それを手間暇かけて育てる、または調理する人に対する感謝の気持ちが込められており、食材の「命をいただく」行為に対する一種の儀式とも言えます。
世界人権宣言において認められている「食料への権利」。これは、すべての人が尊厳を持って、必要な栄養を満たす十分な食料を、継続的に得られる権利であり、飢餓や栄養不足から解放され、健康で文化的な生活を送るために不可欠な基本的な人権のひとつです。
ただ、承知のように世界には食糧危機や栄養失調に苦しむ人々が存在します。このような悲しい現実を考えると、「いただきます」という言葉には、目の前に並べられた食事(食材)のルーツや経路、そこに携わった人、そして誰もが有する食の権利などを意識させる社会的なメッセージが含まれていると言えます。
また、食材の選び方にも命を大切にする姿勢が深い関わりを持ちます。一例を挙げると、フェアトレード(発展途上国で作られた農産物や製品を適正な価格で継続的に購入することで、生産者の生活向上と自立を支援する貿易の仕組み)製品の選択は、農作物を育てる側の労働環境や生活を守る一助となります。
このように「いただきます」という言葉には、命・人権という重要なテーマが凝縮されています。食事が命の源であり、その背後には多くの人の努力や自然の恵みがあることを常に胸に留めておくことが大切です。
食事には「生命」が関わっています。「いただきます」を自分自身だけでなく、他者の権利や環境に配慮した意思表示として守り続けなければなりません。
問合せ:人権啓発センター
【電話】22-8017(市役所別館1階)