- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県垂水市
- 広報紙名 : 広報たるみず 令和7年7月号
■垂水・食の歳時記(小麦)
○垂水と小麦
昭和40年代、まだ自家用車が一般家庭に普及していなかったため、現在のように車で大型スーパーに食料を買いに行くという習慣はありませんでした。必要な品は、近所にある小売店で買い、野菜・米・みそ・菓子類はほぼ自給自足でした。
秋になると、米の収穫が終わった田んぼに小麦を蒔き、翌年5月頃に刈り取り、地域にあった精米所で製粉し、上町にあった製麵所で素麺やうどんに大量に交換してもらっていました。
今回は、育ち盛りの子どもや夏の重労働の大人たちのお腹を満たしてくれていた垂水の昔ながらの小麦粉料理を紹介します。
○垂水の銘菓と小麦
『ろっべ団子』は、海潟・中俣地区で作られていたお菓子です。団子の中のあんが黒砂糖のかけらで別名『腹切り団子』とも言われます。だんごの中に入れた黒砂糖のかけらを口に入れるとトロリと流れ出す様が別名の由来のようです。
『本城麺ざん』は、本城地区で作られていたお菓子です。昔のレシピを再現してみると水ようかんのようなものでした。
『ろっべ団子』、『本城麺ざん』は垂水市の銘菓だったようです。
○垂水の家庭料理と小麦
次に、小麦を使用した、昔の垂水の家庭料理を紹介します。
『ぬいくいだご』は、ゆでた小麦粉のだんごに黒砂糖の粉をまぶしたシンプルな物です。夏真っ盛り、農作業の合間に母が手早く作ってくれて、疲れがとれる一品でした。
『はったい粉』は、小麦を炒り粉にしたものです。当時、若い働き手は関西方面の紡績工場に働きに行き、劣悪な労働環境で『かっけ』というビタミン不足の病気になる人も多かった為、母親たちが子どもたちのことを思い、仕送りしていました。
毎年春になり、新小麦、新じゃが、大名筍が出廻ると『だご汁』を食べたくなる方も多いのではないでしょうか。私は、なつかしい母の味で今でもよく作ります。
◆『ろっべ団子』の作り方
○材料
さつまいも 300g
餅米粉・小麦粉・よもぎ・黒砂糖 各100g
○工程
(1)さつまいもを一口大に切り、ゆでたものに少量の塩を混ぜてつく。
(2)(1)が冷えたら、餅米粉と小麦粉を混ぜ合わせ、約100mlの水を加え、よくこねて乳児の手のひらサイズに平たくにぎり、蒸す。
(3)よく蒸されたら、茹でたよもぎを加え、さらに蒸す。
(4)餅つき機でつき、直径7cmくらいに丸め、黒砂糖を中に入れ、きな粉をまぶしたら完成です。