くらし 【特集】令和7年度 施政方針 ―9つの基本姿勢―(2)

■住み続けたいまちづくり
本市は、物流・人流の拠点としての地理的優位性を活かしつつ、地域資源を大切に育みながら、市民生活の向上を目指し、まちづくりを進めています。今後も人口減少・少子高齢化が懸念される中、先を見据えた持続可能なまちづくりと、都市の機能を高め、人が集まる付加価値を創り出すことが求められます。「誰もが訪れたい、住み続けたいまち」を目標に、都市機能と自然環境が調和した那覇の未来に向け、決断と実行を続けてまいります。

◇主な事業
・人と猫との共生社会推進事業:7,874千円
なはねこサポーター制度の拡充や野良猫の糞尿被害等対策支援・不妊去勢手術実施により、人と動物との共生社会の実現を目指します。

・民間活力を活かした公園活性化事業:5,953千円
パークPFI制度を活用して漫湖公園と新都心公園の供用を開始し、公園利用者の利便性向上および賑わいの創出に努めます。

■健やかで笑顔があふれる暮らしを
本市では、市民のみなさまが生涯健康で過ごせるよう、食事や生活習慣についての講習、健診・保健指導だけでなく、経済的、家庭的な問題や精神的な要素など、一人ひとりの様々な課題に寄り添うことができる包括的な支援体制の確立をしっかりと進めてまいります。また、医療や医療を支える分野についても機能強化を図り、市民の健康と命を守るための環境を整えてまいります。

◇主な事業
・生活習慣病予防健診・保健指導事業:5,849万円
20~30代の国保加入者以外で、BMI25以上の方を対象に従来の保健指導ではなく、ICTを活用した生活習慣病予防プログラムにより「肥満の改善」を図る取り組みなどを進めます。

・那覇市立病院建替え事業等(複数事業有):5,095,953千円
令和7年10月の開院に向け、医療機器整備など重点的に支援します。

・那覇市救急搬送支援システム整備事業:4,996千円
タブレット端末を用いた救急搬送支援システムの運用を開始し、救急要請に対して更なる市民サービスの向上を図ります。

■学びや成長を支える環境が未来につながる
本市では、教育環境を整えることが重要であると考えていることから、教職員の職場環境改善や心のケア、DX推進による業務負担軽減に取り組んでおり、引き続き対策の強化を進めてまいります。また、公約で掲げた県と連携した学校給食費の無償化については、中学校は完全無償化が実現します。さらに、小学校については、県に先行し本市が半額補助することを決断しました。小学校も含めた完全無償化を目指し、引き続き県へ要請し、分け隔てない支援が行き渡るよう取り組んでまいります。

◇主な事業
・学校給食費支援事業:883,131千円
子育て世帯の経済的な負担を減らすため、中学校の給食費は、県補助に加え本市が半額を公費で支援し完全無償化します。また小学校の給食費については、保護者負担分の半額を支援します。

・こどもの学習意欲を高めるためのICT環境整備事業:80,080千円
電子黒板などのICT機器を整備し、それらを活用した学習により児童生徒の学習意欲を高め、学習の質の向上を図ります。

■つながりが発展し、今、世界へ
本市は、市民とともに育むまちづくりを目指し、約30年にわたり「協働によるまちづくり」を進めてきました。そのような中、昨年、多様性を尊重し、寛容な社会の実現に向けて、国際連合大学と連携協定を締結しました。この協定が、地域課題解決の糸口となり、ひいては、SDGsの理念である、「誰一人取り残さない持続可能な開発目標」の達成につなげていきたいと考えております。市民のみなさまと紡いできた協働の「わ」が途切れることなく広がり続けるよう、「協働」の歩みを着実に進めてまいります。

◇主な事業
・なはSDGs推進事業(多様なつながり地域づくり):11,990千円
まちづくりの新しい手法ソーシャルインパクトボンド(SIB)を取り入れた「那覇市版SIB」の仕組みを用いて、社会課題の解決、持続可能な社会の実現を目指す協働活動を創出します。

・男女共同参画計画推進事業:281千円
一人ひとりが豊かに暮らせる社会を目指して、令和8年度の「那覇市性の多様性を尊重する条例(仮称)」の制定に向けて取り組みます。

■結びに
私は学生時代、暑い時も寒い時もひたすら白球を追い続け、手にした一番の財産は、苦楽を共にした仲間との絆でした。今でも、会えば昔話に花が咲くとともに、私が得た大切なものを思い返させてくれます。
昨年、市議会において、ロサンゼルス・ドジャースをメジャーリーグワールドシリーズ優勝へと導いた、デーブ・ロバーツ監督をお迎えし、「那覇市特別栄誉賞」を授与いたしました。
ロバーツ監督は、多様な選手一人ひとりを大切にし、各選手の最大限の力を引き出す能力に優れていると評されておりますが、お話しさせていただく中で特に印象に残ったのは、「沖縄の人々は、家族が全てであり、尊敬があり、愛があり、それが私自身であり、私の仕事の全てであり、私は沖縄の人々と共にあります」というフレーズでございました。その言葉に、監督自身がうちなんちゅの持つ寛容性を備え、それが世界にも通用する力になりうるものだということに、改めて感銘を受けました。
今後、急速な社会情勢の変化や人々の価値観が多様化していく中にあっても、なはに暮らし、働き、集う全ての人々が、お互いを尊び、絆を深め、笑顔に包まれながら市民生活が送れるよう、心をひとつに力を合わせる「和衷共済(わちゅうきょうさい)」を胸に全力を投じてまいります。
市民のみなさまにおかれましては、ご理解とご協力を心よりお願い申し上げ、令和7年度施政方針の結びとさせていただきます。
いっぺーにふぇーでーびる。

問合せ:企画調整課
【電話】862-9937