- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道苫小牧市
- 広報紙名 : 広報とまこまい 令和7年10月号
■生物多様性とは
「生物多様性」とは、地球上にいる3,000万種もの生き物たちの豊かな個性とつながりのことです。これらの生きものは、必要とする環境や栄養源などが異なり、それぞれが特有の個性を持っています。そして直接的または間接的に互いに支えあって生きています。
■わたしたちの暮らしを支える生物多様性
ホッキ貝やハスカップ、魚や野菜、果物といった食料、水、紙、木材や繊維などの原材料、医薬品に使用する遺伝子資源、観光資源となる美しい景観、気候の安定などの生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵みを「生物多様性の恵み(生態系サービス)」といいます。私たちの暮らしはさまざまな生態系サービスに支えられています。
■子どもたち、将来の市民のために生物多様性を
生物多様性は、経済活動により減少・劣化の一途をたどっているといわれています。私たちの世代だけではなく、子どもたちや将来の市民が安心して暮らしていくために、人類の生存基盤でもある生物多様性の減少・劣化を食い止め、さらには生物多様性が向上するように行動していくことが必要です。
■苫小牧市生物多様性地域戦略とは
生物多様性地域戦略は、生物の多様性をより良くしながら守り、将来にわたって資源として使い続けることができるようにするための考え方や政策をまとめた、生物多様性基本法に基づき都道府県や市区町村が作る基本的な計画です。本市では、令和5年度から地域戦略の策定作業を開始し、今年9月に完成しました。この戦略づくりでは、市民の皆さんや企業の方が参加したワークショップで提案されたアイデアを踏まえ、基本的な考え方や目標、取り組みをまとめました。また、最終的なゴールとして2050年に実現を目指す将来像「自然と産業が調和し、勇払原野の恵みを未来へ紡ぐまち苫小牧」をイラストで表現し、その実現に必要な事業や取り組みを約60の施策として掲載しています。
◎戦略本編はこちらから
※二次元コードは本紙P.4をご覧ください。
■市内企業の取り組み紹介
本市に立地する企業も、生物多様性保全に積極的に取り組んでいることをご存じですか。企業が保有している緑地内には、さまざまな生きもの(野生動植物)が生息・生育しており、定期的に専門家による調査や、自然環境について学べるイベントなどを開催しています。ここでは、企業の取り組みを少しだけ紹介します。
◇出光興産(株)北海道製油所
自然共生サイトの登録やSEGES(シージェス)の認定ラベルで最上位ステージの「Superlative Stage(スパラティブ ステージ)」など、数々の対外的な評価を得ています。生きものモニタリングのほか、美術博物館と連携し、毎年市内の小学生を対象にした環境教育活動を開催しています。
◇トヨタ自動車北海道(株)
1940年代から残存するミズナラ林が工場緑地として保全されており、自然共生サイトに登録されています。エゾシカによる希少植物の食害防止対策や専門家による生きもの調査、維持・改善を図る取り組みを行っています。
◇北海道共同備蓄(株)
動物や菌類(キノコ)も多様であることが確認されており、希少種も多く生育・生息しています。毎年夏季に市民を対象としたホタル観賞会を開催しています。
◇(株)ノーザンホースパーク
広さ約1万坪のボタニカルガーデンでは、環境に配慮した段ボールマルチングの活用や、馬の排泄物をたい肥化し近隣牧場で資源としての利用、園内の外来植物の駆除活動を継続するなど、環境保全の取り組みを行っています。