- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道江別市
- 広報紙名 : 広報えべつ 2025年10月号
■第9回 米澤煉瓦(れんが)株式会社
赤れんが庁舎の愛称で親しまれている北海道庁旧本庁舎。5年余りに及ぶ大規模改修工事で使用されたれんがを製造した米澤煉瓦株式会社の米澤社長にお話を伺いました。
江別市 後藤好人市長×米澤煉瓦株式会社 米澤照二社長
▽焼きむらの歴史
米澤:かつては、同じサイズで同じ色に焼き上げていましたが、今使用している窯は、高さと奥行きがあって、多少焼きむらが出るように設計しているので、同じ窯で焼いても色の幅があるのが当社のれんがの特徴です。昔は石炭で焼いていたので、炭をかぶって焼きむらができる場所と、きれいに赤く焼ける場所が1つの窯の中に必ずありました。
後藤:焼きむらは自然の産物だったのですね。
米澤:そうです。意図的に作ったのではなく、自然と生まれたものでした。現存の文化財は、焼きむらがあるれんがを使用している建物が多いため、焼きむらが大きくついたれんがの方が好まれているように感じます。
▽北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の改修工事
米澤:改修工事は壁の表面を切り取って行うため、庁舎の図面かられんがの寸法を一つ一つ計測し、34種類の特注れんがを製造しました。実は、50年以上前の復原工事の時も特注でれんがを製造したのです。
後藤:50年以上前ですか。
米澤:当時、私は小学生でしたが、とても大きなれんがだったので、工場の職人が竹ひごを刺して穴を開け、空気を抜こうと苦労していたのを見ていました。それから50年以上が経ち、改修工事用のれんがの製造依頼が来たので、これは断るわけにはいかないと思い、苦労を覚悟で引き受けました。
後藤:その時の知識と技術をお持ちですものね。
米澤:50年後、うちの会社が続いていたら息子たちがまたやらなくてはならないだろうなと思っています。
▽これからのれんが
後藤:れんがの建物はなくなることはないと思います。なので今後は補修工事がもっと必要になるのではないでしょうか。
米澤:れんがの建物は補修しながら永遠に使えます。とにかく水が入らないようにすれば傷みません。先ほど外で見ていただいた工場の煙突は、85年以上前に建てられたものですが、一番上の部分を取り換えているだけで、それ以外は昔のままです。れんがは優れた機能を持っています。いろいろとアイデアをいただければ、必ず形にして役に立てると思います。
後藤:力強いお言葉をありがとうございます。れんがの良さを多くの人に伝えていきたいと思います。
▽企業情報 米澤煉瓦株式会社
所在地:元野幌227
従業員数:15名(R7.7現在)
主な事業:れんが・陶管の製造および販売
問合せ:企業立地課
【電話】381-1087
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