くらし 令和七年度泊村政執行方針(2)

■第一 産業の振興について
村の産業は、地域における高齢化や人口減少に伴い、深刻な人手不足に直面しており、加えてエネルギー価格の高騰や米などの食料品の物価高騰が続いており、厳しい経営環境となっております。このような中、村としては、基幹産業である水産業をはじめとする各産業の活性化を図り、引き続き実施している各種事業を支援するとともに、地域産業が元気を取り戻す施策を検討し、「地場産業が元気になる村づくり」を推進してまいります。

◇1 水産業の振興
村の基幹産業であります水産業は、地球温暖化を原因とする海洋環境の変化により、秋サケやイカなどの不漁が続いている中、漁業者の高齢化も進み、後継者不足により漁業就業者数も減少しております。村の主要産業である水産業の持続的発展を図るためには、新規漁業就業者の確保とともに適切な資源管理や種苗放流、増養殖事業等に取り組んでいくことが重要であります。
このため、古宇郡漁業協同組合では、「つくり育てる漁業」を推進し、ホタテ養殖やナマコ、ヒラメ、ニシン等の種苗放流事業に取り組んでおり、特にホタテ養殖については、順調に水揚げされ、各方面から高い評価を受けているところであります。
また、近年では、全道各地に広がりをみせてるサーモン養殖でありますが、村においても、令和三年から実証試験を実施しているところであり、過去の実績を踏まえ、事業の採算性などについて検討するとともに、関係機関と協議をし、事業化を目指して支援してまいります。
新規漁業就業者の確保につきましては、漁業の担い手不足は大変深刻であり、引き続き新規漁業就業者や漁業後継者への支援を行うほか、「北海道漁業就業支援フェア」などを活用し、積極的に漁業担い手の確保に向け努めてまいります。
生産基盤として重要である漁港の整備・機能強化につきましては、本年度、盃漁港本港の西外防波堤工事が完了する予定であり、泊漁港本港及び盃漁港カブト分区についても着実に事業が実施されますよう国や道に働きかけ、安全で安心できる漁港の整備に努めてまいります。
盃漁港カブト分区が、令和六年三月、国の「海業の推進に取り組む地区」に決定されたことから、サーモン養殖に関する施設整備の推進、「北海道とまりカブトサーモン」の安定生産による漁村の活性化を図り、「海業」の推進に努めてまいります。

◇2 商工業の振興
村の商工業につきましては、少子高齢化による人口減少に伴う購買力の低下、昨今では長引く物価高騰の影響が消費低迷に追い打ちをかけるとともに、村外の大型量販店やインターネット通販との商品種類と価格格差から、村内商店での商品需要が年々減少するなど、村内における商店経営は非常に厳しい状況となっております。このような状況を踏まえ、今年度におきましても、「プレミアム商品券発行事業」、「中小企業振興資金利子補給事業補助金」など商店等の経営支援にあたる事業を継続して実施してまいります。
村の商工業の振興を担う泊村商工会におかれましては、会員数の減少など厳しい運営状況であると認識をしておりますが、村内における商店経営が持続できる仕組みや方法などについて会員の意見を集約し、基金等の資金を活用した中で更なる村の地域経済の活性化に向けた施策の創出を期待するものであります。

◇3 観光業の振興
観光振興につきましては、今年度におきましても村民の皆様をはじめ、各関係団体のご協力により、村の一大イベントでもあります「群来まつり」をはじめ、村民の皆様からご好評で頂いております「ふるさと花火大会」につきましても、実施内容や運営について改善し、新たな企画等を盛り込み盛況となるよう努めてまいります。更には、地域資源の魅力をSNS等により広く発信し多くの方々に泊村にお越し頂けるよう、引き続きPRをしてまいります。
また、温泉施設の建設については、温泉の規模は浴槽を男女それぞれに内湯1箇所、露天風呂2箇所、サウナ1箇所を設置致します。内湯については源泉掛け流しとし、露天風呂の一部についても源泉掛け流しとしております。また、身障者用の浴室も併せて設置し、入浴後の休憩所の他に地域の避難施設も兼ねているため、備蓄倉庫も設置を致します。この施設につきましては、ランニングコストを低減するために再生可能エネルギーを活用した空調・給水設備を設置し環境に配慮した設備を取り入れてまいります。

◇4 建設業
建設業界は、昨今の労働者の働き方改革や資材の高騰により、急激に事業の進捗が遅れることがないよう、事業の遂行の際には、それらの影響への配慮が必要とされる状況となっております。
そのような中、今年度の主要工事として、道路関係は、令和六年度に実施した滝の澗宅地造成地内に設置予定の村道滝の澗三号通線の道路工事を実施致します。住宅関係では、公営住宅長寿命化の一環として、盃第二団地の改修工事を実施し令和七年度で事業完了とし、また、公営住宅の修繕等も速やかに行い、適切な住宅の維持管理に努めてまいります。
村としましても村民の皆様が安全で安心して暮らせるよう、所要の事業を計上し、更なる環境整備に努めると共に泊建設業協会を中心とした地元企業への工事発注等、経済的波及効果が少なからず得られるよう、配慮してまいります。