くらし 【特集1】令和7年度町政執行方針(1)

◆【町政運営の基本姿勢】
私の町長としての2期目の任期も、3年目を迎えることとなりました。
この間、食料やエネルギー価格を中心とした物価高騰が長引き、私たちの日常生活に直接影響を及ぼす厳しい社会情勢が続いています。
こうした状況下で、町民の皆様とともに、地域の将来を見据えた持続可能なマチづくりを進めることが、私たち地方行政に課せられた使命であると強く感じているところであります。
令和7年度におきましては、「いつまでも暮らしていける苫前」の実現を目指し、「産業振興」「GX・DX」「安全・安心な生活」「子育て支援」の4つの柱を中心に据えながら、引き続き住民生活の基盤整備に力を注ぎ、夢と希望の持てるマチづくりを、地域と一体となって進めてまいります。

◆【令和7年度の主要施策の展開】
次に、令和7年度の主要施策の展開についてであります。これからの苫前町の更なる発展に欠かせない、住民生活の基盤整備にしっかりと取り組むことを基本的な考え方として、具体的に、7つの分野に分けて申し上げます。

◆1【産業の振興と地域活性化】
1点目は、「産業の振興と地域活性化」であります。農業及び漁業の生産基盤の強化をはじめ、地場産品のブランド化や観光振興を図り、人を呼び込む施策に取り組んでまいります。

(農業)
農業経営は、物価高騰や労働力不足などにより、依然として厳しい状況にありますが、本町においては、「安全・安心な農産物」としての特別栽培米や「とままえメロン」など、引き続き高付加価値化・ブランド化を積極的に推進し、農業経営の安定化と発展に力を注いでまいります。
また、労働力不足の解消に向けた取組として、スマート農業の導入を推進してまいりましたが、耐用年数の満了が近いスマート農機の更新などを含め、更なる推進を図るべく関係機関と協議してまいります。
また、国の水田利活用施策に関し、「5年水張ルール」を見直す考えが表明されたことから、度重なる施策の変化に適切に対応すべく関係機関と協議をしてまいります。
畜産関係では、上平共同利用模範牧場について、草地の植生改善及び育成舎や作業機械などの更新のため、令和6年度より調査計画事業を実施し、令和7年度には事業計画が策定されますが、指定管理者との連携のもと、将来にわたって効率的な運営が図られるよう取り組んでまいります。また、近年の物価高騰に対応すべく、優良乳用牛を導入するなど、生乳価格や個体販売価格の向上を目指し、引き続き関係機関と連携してまいります。
農業基盤整備関係では、苫前ダムを水源とする畑地かんがい用水の有効利用促進のため、畑地かんがい施設資機材を購入するなど、安定的な農業用水の確保と、畑作物の品質、収量向上を図ってまいります。
今後とも、農業の多面的機能の発揮に不可欠な農地・農業用水等の保全・確保に務めるとともに、地域の防災・減災の観点から、持続可能で多様性ある農業・農村づくりを推進してまいります。

(漁業)
国直轄の第3種漁港である苫前漁港について、新たな特定漁港漁場整備事業計画がスタートをいたしました。これからの本町漁業振興の確固たる基盤施設として、新埠頭の造成や低天端岸壁の整備等が予定されています。引き続き、本整備計画の着実な進捗を国に要望してまいります。
また、漁港整備により影響を受ける海域について、水産生物生息調査の結果を参考に、移植放流に向けて検討するとともに、既存施設を有効活用した新たな「海業」の取組や、漁港施設等における省エネルギー化、再生可能エネルギーの地産地消等の検討を引き続き進めてまいります。
加えて、苫前漁港第3港区において、今後の蓄養水面としての利活用を目指し、スマート水産業の取組であるICT観測ブイ設置による水産物の品質管理や、時化や漁期による影響を緩和するための出荷調整及び通年出荷体制の可能性について蓄養実証試験を実施するとともに、ブルーカーボンの取組でもあるウニの餌料用コンブの養殖試験を実施し、苫前漁港での「つくり育てる漁業」を実践することにより、持続可能な漁業の推進と漁業経営の安定化に寄与してまいります。
更には、第1種漁港である力昼漁港について、外防波堤延伸工事の完成により、持続的生産体制の強化が図られたところでありますが、引き続き施設の老朽化対策や漁港内の浚渫の実施などを管理者である北海道に要望するとともに、町としても機能確保に努めてまいります。