- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道猿払村
- 広報紙名 : 広報さるふつ Vol.538 令和7年3月号
■「この塾に入って良かったと思ってもらえるように」
猿払村教育委員会子ども未来係
係長 佐藤邦洋
▽将来の選択肢を増やす
猿払村には中学校までしかないため、「お兄ちゃん・お姉ちゃん」のような年齢の大学生と話せる機会がほとんどなく、身近な存在である兄弟や親戚の進路に強く影響を受け、将来に関する視野が狭くなってしまうことも少なくありません。未来塾では、勉強を教えてもらうだけでなく、医学部の学生や教師を目指す学生など、様々な将来を目指す大学生とふれあうことができます。このように、進路の幅を広げるきっかけを作ることができたのは嬉しく思います。
▽教えすぎないことを意識
塾では常に、教えすぎないことを意識しています。「教えたからわかった」ではなく、必ず自分の力で解けるように、一緒に質問の意図を考え、問題を深堀しながら、解き方やヒントを教えています。「できないから避ける」という選択をするのは簡単です。難しい問題でも、まずはやってみようと伝え、できない問題に対して「教えるから一緒にやろう、チャレンジしてみよう」といった言葉をかけながら、生徒の苦手、ネガティブな部分を理解し、一緒に勉強していくことを心がけています。
▽一人ひとりに合わせた学習
生徒によって得意なことや苦手なこと、勉強の理解度はそれぞれです。講師と生徒で1対1となり、1時間とことん勉強を見てあげることで、講師は生徒の得意・苦手な部分を把握しやすく、生徒も学習に集中することができます。また、いろいろな大学生に触れ、視野を広げてほしいと考えているため、基本的に講師と生徒の組み合わせは、毎回変えています。
▽講師は全国各地の大学生
子どもに勉強を教えることが好きなのは大前提ですが、それ以外にも、猿払村のような僻地に対して興味があるか、僻地の子どもたちにしっかりと向き合えるかなど、地域の行政や取り組みにアンテナを張っている人を採用しています。生徒に対して、確実に勉強を教えられる学力は必要としていますが、それ以外は固定しておらず、様々な地域、学部、学科の大学生を講師として採用しています。
▽より良い環境づくり
未来塾では、生徒、保護者、大学生の三者が、この塾に入ってよかったと思えるような環境づくりを目指しています。この目標にゴールはなく、より良い環境のために日々考え続けていくのは大変ですが、同時にやりがいや面白さを感じています。生徒や保護者、講師の意見を積極的に取り入れ、臨機応変に学習内容のリニューアルも行っており、講師の気づきによって生まれた学習計画もあります。中学1~3年生の応用クラスも、上位の高校を目指している生徒の保護者が提案してくれたニーズに合わせて増設しました。
▽未来塾のこれから
直近だと、来年度に、前回開催時も好評だった大学生とのトークイベントを実施したいと考えています。講師の大学生を猿払村に招いて勉強を教えてもらう「現地受講体験会」も継続していきたいですね。
今後は、今の小・中学生みんなが未来塾に通えるような体制を整え、最終的には、「学習」というキーワードを通し、サポートの幅を社会人まで広げ、「大学に入り直したい」「資格を取得したい」「検定に挑戦したい」など、村民の「チャレンジしたい!」という思いに向き合える塾にしていきたいです。
■「まずはみんなの目標探しからお手伝いしていきたい」
明治大学政治経済学部2年
髙橋美百合さん
▽恩返しができるチャンス
私自身、中学生の頃に札幌市内の塾で佐藤さんに教わっていた塾生でした。生徒の「わからない」に真摯に向き合ってくださる方で、今でも私の恩師のような存在です。講師を始めたきっかけは「猿払村で未来塾の子どもたちのために講師をやってくれないか?」と佐藤さんからお誘いいただいたことです。佐藤さんに勉強を教わった自分の受験生時代を思い出して、自分がしてもらったことを誰かに恩返しできるチャンスだ!と思い二つ返事で快諾しました。
▽家庭学習との差別化を意識
一番私が気にかけているのは、塾の時間がただ問題を消化するだけの時間にならないようにすることです。塾に来て、先生に1対1でついてもらいながら勉強できるって、すごく贅沢な時間です。なので、家庭学習と差別化できるように、どうしてそう考えたのか、「もっと簡単にできるやり方思いつける?」など声かけしながら、より多くを教えられるように気を配っています。ただ問題が解けて嬉しい!じゃなくて、テストで何のヒントもない状態で問題を見た時に「大学生の先生が教えてくれたやつだ!」と思い出してもらえるように、生徒が学校で習ったことに肉付けしていくイメージで教えるように心がけています。
▽生徒からの嬉しい報告も
生徒のできるようになった!わかるようになった!の声を聞くのはもちろんうれしいし、講師冥利に尽きます。テストの点が前よりも上がった、なんて報告してくれたら一緒に声をあげて喜ぶこともありますね。勉強には全く関係のない普段の生活の話をしてくれるのも嬉しいことの一つです。オンラインなので実際に会える機会は少ないけれど、せっかく全国各地にいる大学生と関わることができる機会なわけですから、いろんな話を聞かせてほしいし、こちらもいろんな話をしてあげたいなと思っています。
▽難しさとやりがいを感じる
生徒によって教えるスタイルを変えながら指導するところが、難しくもありやりがいもある部分だと感じています。黙々と問題に取り組みたい子、先生とおしゃべりするのが好きな子、勉強が好きな子、嫌いな子…性格や勉強のスタイルも一人ひとり全く異なるので、それぞれに適した教え方をしてあげたいなと思っています。合わない教え方をして勉強に対してマイナスな気持ちを持ってほしくないので、初めて教える子がいる時は、その子の内面的な部分に興味を持って、どんな教え方が合っているかな?と探りながら教えています。
▽未来につながる学び
猿払村未来塾が生徒のみんなにとって、自分の何年か先の未来について考えるきっかけの場所になればいいなと思っています。なりたい自分になるために頑張らなきゃいけないことがいくつかあって、その一つが勉強です。私自身も高校受験、大学受験と目標を持って真剣に向き合い、少しでも自分の理想に近づけるように努力してきました。結果は様々でしたが、目標に向かって努力した経験は大学生になった今にも活きています。今、生徒のみんながしている勉強は、その先の未来につながるもっと意味のあるものです。「やれと言われるからやる勉強」から、「自分の夢に近づくための手段としての勉強」だと思ってもらえるように、まずはみんなの目標探しからお手伝いしていきたいです。