- 発行日 :
- 自治体名 : 岩手県一関市
- 広報紙名 : 広報いちのせき「i-Style」 令和7年5月号
■地域で唯一の民俗芸能を継承 「つなぎ役」として伝統を次の世代へ
布佐集落に160年以上伝わる県指定無形民俗文化財・布佐神楽の保存会長。昔から神楽の舞い手を神楽連中と呼び、今もその名で活動しています。後継者不足への危機感から集落全戸が所属し、昭和47年に保存会が発足。神楽に本格的に取り組み始めたのは高校時代からで、当時の保存会長に直々に太鼓の指導を受け、「幼い頃、おじいさんの練習する姿を見ていたのでリズムは自然と体に染みついていた」とすんなり仲間入り。現在まで約60年のキャリアを誇ります。
太鼓の激しいリズムに合わせた布佐神楽の舞は、勇壮かつ流麗。上演できる演目は20ほどありますが、演者は60~70代がほとんどのため、担い手確保に力を入れています。20代、40代の若手が1人ずつ加入しているほか、町内に呼びかけ御神楽(みかぐら)教室を開き、練習に参加してもらうなどして地域唯一の民俗芸能を守り続けています。
「今では生きがいの一つ。考え込むことがあっても神楽に熱中すれば忘れてしまう」とえびす顔。継承の難しさは時代を問わず課題ですが「『つなぎ役』として後世に伝えていきたい」と使命感をにじませます。
▽布佐神楽保存会長
千葉仁一(ちば・じんいち)さん 76(川崎)
Profile
昭和24年、一関市川崎町生まれ。第6代会長就任前には米国(ハワイ)やオーストラリア(シドニー)、中国(北京)、フランス(パリ)での海外公演にも参加。日本球界時代から大谷翔平選手のファンで、今は大リーグの試合をテレビ観戦するのが楽しみ。