くらし 【特集】上下水道 ~七ヶ浜の水、将来を見据えて~(2)

■下水道のはじまり
《松島湾の水質悪化がきっかけに》
下水道もそもそもの始まりからみてみましょう。
昭和40年代の高度経済成長で人々の暮らしは、それまでと比べものにならないほど豊かになりましたが、その陰で予期しないことも起き始めました。
海に流される工場排水や生活排水で海が汚れ、美しい自然が損なわれ始めたのです。
特に、松島湾は島々により、外洋とさえぎられているため、湾内に汚れがたまりやすかったのです。
水質の悪化は、3方を海に囲まれた七ヶ浜町の漁師さんたちにとっては深刻な問題でした。
この汚れた海を元どおりのきれいな海に回復するためには、市町の枠を超えて広域的に取り組む下水道の整備が不可欠でした。
こうして、昭和55年、仙塩流域下水道が整備され、供用が始まりました。
下水道になったことにより、それまで汲み取り式の便所が水洗化されたことや家の周りにカやハエなどが少なくなり、伝染病の予防などにもつながっています。

■下水はどこへ?
《〇ん〇が自然に還るまで》
家庭から出た台所やお風呂、洗濯、水洗トイレなどで使用された汚れた水は、どこに行くのでしょう。
まず、家庭から出された下水は公共桝を通り、地中にある下水道管へ流れます。下水道管も上から下へ自然に流れるよう緩やかに勾配をつけています。
しかし、上水道のように町の一番高いところ一カ所から、全体に自然流下させるのとは違い、下水は、七ヶ浜町の高低差があるそれぞれの土地のご家庭から排水されることになります。
低いご家庭から排水された下水を自然流下させるには、さらに低いところに下水道管が必要となり、深く掘り続ければなりません。
この課題を解決するために町では、低いところに中継ポンプ場と小型で中継するマンホールポンプ場を作り、高いところへ下水を圧送することにしました。場所によっては、何回も中継して最終的に多賀城市大代地区にある仙塩浄化センターに送っています。
現在、町には、下水を中継する12のポンプ場と28のマンホールポンプ場があります。
例えば、代ヶ崎浜の下水は、途中、吉田浜、花渕浜、菖蒲田浜の中継ポンプ場を経由して仙塩浄化センターに送られています。この方法は、起伏に富む七ヶ浜町ならではですね。
さて、仙塩浄化センターに送られた下水は、それからどうなるのでしょう?
最初に(1)「沈砂池」で大きなごみを、(2)「最初沈殿池」で小さなごみを取り除いた後、微生物のいる(3)「反応タンク」で汚れを分解し、次に、(4)「最終沈殿池」で処理水と泥に分けます。きれいになった水は、最後に(5)「塩素混和池」で塩素消毒して、川や海に流されます。
雨が降ってダムに水が蓄えられ、水道として私たちの家庭に届きます。家庭で使った水は下水となり、きれいな水に処理されて海や川に流されます。水はやがて水蒸気となって雲となり、雨を降らせます。上下水道は、いわば、私たちの暮らしの中での水の循環そのものなんですね。

■上下水道の今
《下水道管の入れ替えはこれから》
七ヶ浜町の上下水道の現状はどうなのでしょうか。まずは、施設面をみてみましょう。
七ヶ浜町には、町内に水源がないため浄水場、下水道についても汚水処理場はありませんが、上水道では君ヶ岡の3つの貯水タンクと総延長131kmの水道管があります。
下水道では12の中継ポンプ場と28のマンホールポンプ場、総延長116kmの下水道管があります。
管の耐用年数は、管の種類に違いはあるものの、一般的に水道管で40年、下水道管で50年といわれています。
管が破損してからでは皆さんの日常生活に影響します。このため、町では、これまで耐用年数が近づき老朽化した水道管の状態を把握するために管内外を調査し、更新が必要な個所から優先順位をつけて、管の交換や修理などを行ってきました。
しかし、それでも、現時点で40年を過ぎた水道管は、全体の約30%あります。現在は、水道ビジョン(施設更新計画)により、軽量で地震の影響を受けにくく耐久性に優れた水道管への更新を進めています。
一方、下水道管については、昭和55年に整備されて45年が経過し、これから耐用年数を迎えます。
現在の下水道管の工事の主流となっている内面更生工事は、劣化した下水道管自体を交換することなく、その内面をリニューアルし、長期間使用できるようにするものです。(写真右中)
町では、こういった工事手法も取り入れながら、令和5年度に長期的視点に立った修繕・改築計画(ストックマネジメント計画)を策定し、計画的に進めています。

※詳しくは広報紙P.6をご覧ください。