- 発行日 :
- 自治体名 : 秋田県
- 広報紙名 : あきたびじょん 2025年10月号
■どうしてひきこもりになるの?
●大切な人との突然の別れ、喪失体験、受験や就職活動のつまづき
●いじめやパワハラ、燃え尽き症候群、転勤や退職などの環境変化 など
さまざまなきっかけがあります。何か一つということはありません。
「優等生だった私が」、「営業成績トップだったあの人が」ということもあります。
■どんな人が相談を受けたらいいの?
(1)社会的に孤立し、孤独を感じている
●孤立とは、人との関わりが限定的、またはない状態のことです。
孤立しているだけで悪いわけではありませんが、困った時に助けを求められる準備が必要です。
(2)「生活上のさまざまな困難を抱えている」
●生活上のさまざまな困難には、生活困窮、いじめ、ハラスメント被害、けが、病気、障害、多重ケアなどさまざまなことがあります。
ひきこもり相談窓口は、その状態にある期間に関係なく相談できます
市町村や県の相談窓口はP9へ
■当事者に聞く ~一歩を踏み出すきっかけ~
ひきこもりを経験し、今はピアサポーター(※1)として関わる優さんと、ひきこもり支援者として活動中のロザリンさんから学ぶ
(※1)ピアサポーター…自身の経験を活かし、似た境遇にある人をサポートする人のこと
●優(ゆう)さん
2018年4月に『ふらっと』を訪れ、2022年からピアサポーターとして学生支援に関わる。
●ロザリン・ヨンさん
マレーシア出身、秋田大学大学院医学系研究科(医学専攻等)地域心身医療学講座助教。2013年、『ふらっと』を立ち上げ、ひきこもり・不登校支援者として活動中。
敬称略
●ゆっくりと話をすることの大切さ
優:大学2年生の時にひきこもりになりました。
あるとき、新聞で私と同じ病名の方が『ふらっと』(※2)というカフェで活躍する記事を読み、「私以外にもこういう人がいるんだ」と思い、『ふらっと』を訪ねたのが相談の始まりでした。
(※2)『ふらっと』…大仙市大曲須和町にある、ひきこもりや不登校の人などを支援する場
ロザリン:すごく悩んでいる人や、長く他人と関わってこなかったひきこもり状態の人は、「気楽に話して」と言われても何を話したらいいか分かりません。相談ができなくても、『ふらっと』はコーヒーやお茶を飲みながら、ゆっくりお互いを知っていくと同時に、自分自身と向き合う時間を取れることが多いです。
優:今まで行った別の相談先では自分の気持ちを話すことができませんでした。ロザリンさんは一人の人間として対等に話してくれて、次第に心の内を打ち明けることができました。
●ひきこもり状態のあなたへ
ロザリン:ひきこもりは悪いことをしている訳ではありません。偶然そうなったのか、やむを得ない事情があったのか、理由は人それぞれです。
優:私は心の根っこにある、人の怖さや恨みが絡み合ってひきこもりになったと思います。人と関わることが怖くて外に出られなかったので、一緒に考えてくれる人が必要です。
ロザリン:もし今の状態を望んでいないなら、まずは誰かと話をしてみるのが第一歩です。現在、家から出られる状態であれば、自分の居場所を探してみましょう。外に出られないときは、電話・メール・窓口など自分に合う方法で相談するのも一つの選択肢です。うまくいかなかったり、嫌に感じたりすることもありますが、それは窓口との相性やその時の気持ちによることがあります。別の方法で試してみたり、少し時間をおいて向き合ってみたりするのもいいでしょう。その一歩が自分の気持ちや状況を整理するきっかけになることを願っています。