くらし Interview 01(1)

磐梯町に移住してきた方に、町での暮らしや移住についてお話を聞きました。第一回目は、内田一哉園長先生と、ご家族です。
〔内田一哉さん(かずやさん)、のぶこさん、こちくん、ひでくん、としくん〕

インタビュー:地域おこし協力隊 浪岡 由依

『夢を叶えたいからチャレンジしたいって聞いたときは、家族会議を行いました』

■移住したきっかけや決め手を教えてください
▽かずやさん
きっかけは、磐梯幼稚園の園長先生の公募が出ていたことです。私の幼少期からの将来の夢が、幼稚園の園長先生になるっていうことでした。
経緯を話すと長くなりますが、私は家が経済的に厳しかったこともあり、小学校入学前の一年間だけ幼稚園に通わせてもらったんですね。でもその一年間も本当は行きたくなかったぐらい。というのも、両親から「幼稚園は悪い子が連れて行かれる場所」と教えられていたからです。
だからそんなところには絶対に行かないと思ってたんですけど、無理やり連れて行かれた初日に出会った園長先生がものすごく素敵で優しい方で。「君が来たい時に来て、来たくない時は来なくていい。楽しいことだけをしに幼稚園に来なさい。」って言ってくれたんです。
それが私の幼稚園の園長先生像が出来上がったきっかけです。その一年は人生でも特に印象深いもので、ずっと幼稚園の園長先生というお仕事に憧れていました。そのきっかけが磐梯町にあったことが、移住した理由です。土地そのものにこだわりは全くなくて。園長の公募をするなんて全国探してもめったにないことだから、それが一番大きな理由です。

▽のぶこさん
仕事柄居住地を転々としていたんですよ。磐梯町に来る前は長野県、さらにその前は台湾、伊豆大島にも住んでいました。
今回の移住も、園長公募というきっかけが大きかったと思います。ただ、家族としては本当に悩みました。

■移住について聞いた時ご家族はどう思われましたか?
▽のぶこさん
夢を叶えたいからチャレンジしたいって聞いたときは、家族会議を行いました。移住のタイミングとしては、長男(こちくん)の中学校入学と三男(としくん)の小学校入学が重なる時期でした。
何度も引っ越しをしてたから慣れてるかなと思ったんだけど、やっぱり年齢も上がって友人関係ができていたタイミングでの移動は子供にとっても大きな決断でした。

▽ひでくん
でもパパの夢だったと聞いてOKって言った。

▽のぶこさん
長男(こちくん)は私が見ている印象では最初はかなり落ち込んでいて。でもパパの夢っていう話を聞いて、たぶん応援したい気持ちとの狭間で悩んでたよね。だから順風満帆に決まったっていうわけでもありませんでした。

■磐梯町の第一印象はどうでしたか?
▽かずやさん
町の真ん中にリオンドールがある!

▽のぶこさん
町の中にスーパーや道の駅があって、車で20分もあれば喜多方にも会津若松にも猪苗代にも行けるし。そこに行けばホームセンターや大きいスーパーがあり、生活しやすいと感じました。孤立した印象はなく、今でもとても住みやすい町だと感じています。

■事前に磐梯町や会津地方のことを調べましたか?
▽かずやさん
私は全く調べませんでした。住み始めてから知らないことをその土地に住んでる人に聞いてみて、感じていくのがいいなと今までの人生の中でも思っていて。前情報を入れるよりは、新しい環境で自分で手の届く範囲から知っていく方がいいと思ったからですね。

▽のぶこさん
私は逆ですね。まず町に小中学校が何校あるか、高校はどうか、子どもたちがサッカーをする環境はあるのか、練習場所はどこか、家族で住める住宅はあるか、そこがクリアにならないといけないと思って。

■実際に磐梯町に住んでみてどうですか?
▽ひでくん
良いね。

▽かずやさん
うん、そうだね。今年は特に雪が多かった年で、家族全員で雪かきをしました。私も幼稚園の施設の雪を毎日のようにかきましたが、不思議と嫌にはなりませんでした。雪深い地域での生活が苦にならないぐらい、町での生活が良かった。

▽のぶこさん
地域の人たちも「何十年ぶりだよ」と言うくらいの大雪だったので、相当な当たり年に来たのだと思います。でもその分、子どもたちは雪遊びができて楽しんでいましたし、アルツ磐梯(ネコママウンテン)も子供は無料で滑らせてもらえたりとか。町からの温かいサポートもあって、本当にありがたいなと感じました。
子どもたちが友達を作れるかどうか、学校に馴染めるかがとても不安だったんですよ。次男と三男は転校して一週間もすれば学校に慣れて、仲の良い友達もできていたんですけど、中学校に上がりたての長男は最初はなかなか馴染めなくてね。最初の二ヶ月ほどは学校で誰とも話さずに帰ってくる日が続いていました。とても心配しましたし、本人もつらかったと思います。3ヶ月が経った頃、ちょっとしたことをきっかけに徐々に友達が増え始め、今ではあの頃の悩みが嘘だったかと思うほどにたくさんの仲の良い友達ができました。
私自身も新しい土地でゼロから人間関係を築いていくのは簡単ではなく、相談できる人も最初はいなかったので。それはどの土地に行ってもそうですが、スタートはとても孤独でつらいっていうのが正直あります。ただ、子どもたちを通じて他のお母さん方と仲良くなることができ、少しずつ土地にも慣れ、今ではとても楽しい毎日を送っています。