くらし 【特集】多文化共生を考える 国籍の壁を超えみんなで一緒につくる社会1

■多文化共生とは
国籍や民族などの異なる人たちが、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと

近年、職場や学校だけでなく、スーパーやコンビニなど日常生活のさまざまな場面で外国人の姿を目にするようになりました。現在、古河市には約6千人の外国人が暮らしており、今後もさらなる増加が見込まれています。このような状況からも、国籍や文化の壁を超え、共に古河市民としてより良い関係を築いていくことが重要です。
また、SDGsの取り組みにおける「誰一人取り残さない」という理念の下、市ではJICA筑波と連携覚書を締結するなど、多文化共生社会の実現に向けた環境を整備しています。
今回は、市の取り組みや古河市国際交流協会の活動を紹介するとともに、外国人住民の皆さんが感じていることなどを伺い、誰もが暮らしやすいまちについて考えていきます。

■多文化共生を目指す市の取り組み
●古河市多文化共生推進指針の策定
市では、多文化共生の取り組みとして相談窓口の設置や教育支援、外国人災害避難訓練などを行っています。また、在住外国人の現状や意見を参考にするためアンケートを実施。得られた結果を活用し、行政だけでなく、地域が一体となって多文化共生社会を目指すための『古河市多文化共生推進指針』を策定しました。

●外国人へのアンケート調査結果
○生活で困っていること
1位:金銭的余裕がない
2位:言葉や文化が分からない
3位:災害時の対応が分からない

○知りたい情報
1位:外国人コミュニティ
2位:日本語を学べる場所
3位:災害時の対応

○その他の意見
・たくさんの日本人と友達になりたい
・市役所やお店などで英語が話せる人が少ない
・外国人労働者に対する支援について知りたい

●指針の4つの柱
○コミュニケーション支援
・やさしい日本語を推進し、多言語対応の充実や相談窓口の強化を図る
・外国人市民が地域住民と円滑に生活を営めるよう、日本語教育を進める

○生活支援
・日本語指導が必要な児童生徒への対応強化と就学促進・教育環境の整備
・災害時支援や行政サービス情報の周知

○意識啓発と社会参画
・多文化共生に関する理解を深める場づくり
・日本人と外国人の市民が交流できるイベントなどを開催する

○地域活性化・グローバル化
・日本人と外国人の市民をつなぐ外国人市民を発掘・育成する
・外国人市民の知見やノウハウを活用し、グローバル化に対応していく

※詳細は本紙5ページの二次元コードからご覧ください。

●外国人のための生活相談
○インタビュー
外国人アットホームin古河
生活の悩み等、相談員が親身に対応しています。

・太田虹雲(こううん)さん
出身:中国
来日38年目

38年前に留学生として日本に来ました。長年、日本の皆さんに大変お世話になったこともあり、語学を通して何か恩返しができないかと、相談員になりました。言葉がよく分からないと、友達や知人に相談することも多いと思いますが、悩む前にお気軽にご相談ください。

・大熊マリベルローズさん
出身:フィリピン
来日20年目

20年前に訪日した際、病院や子どもの学校などで言葉の壁に悩まされました。異国で暮らすにはその国の言葉を理解することが大切なため、相談者には日本語教室へ通うことを積極的に勧めています。仕事が忙しい人はオンライン教室もオススメです。今後も経験を生かして、外国人と日本人の架け橋のような存在になりたいと思っています。

場所:(総)ふるさと館
日時:月~金曜日、8時30分~17時15分(母国語での相談は要予約)
【電話】92-1404

■こがでくらすと世界がつながる
※詳しくは本紙6ページをご覧ください。

■世界に開かれた地域社会づくり 古河市国際交流協会
古河市国際交流協会は、平成20年に設立されたボランティア団体です。
現在、個人134人・法人15社・賛助3団体の会員が所属し、多文化共生の下、市民同士が国境を超えて交流を深め、安心安全な社会をつくれるよう、国際交流を主体とした活動を行っています。

●語学交流部会
外国人のための日本語教室を3カ所で開講しているほか、スピーチコンテストに参加したり、日本語ボランティアのための講座を開講したりしています。

○日本語教室スケジュール
・古河教室(山水はなももプラザ)
日時:

・総和教室(中央公民館)
日時:

・三和教室(野本電設工業コスモスプラザ)
日時:

●文化交流部会
異なる国籍や文化を持つ人たちと交流し、相互理解と友好関係を深めるため、さまざまなイベントを企画し、積極的な交流を推進しています。

○活動スケジュール
8月9日(土)・23日(土) 中国茶道入門教室
9月13日~(全10回) 中国語講座
10月26日(日) ラーメン作り講座
11月16日(日) 楽々ゴミ分別講座
12月14日(日) ウィンターフェスティバル

●生活支援部会
外国人が少しでも安心して生活できるよう、弁護士を招いての法律相談会や、防災訓練等を開催しています。また、古河東ロータリークラブが主催する多文化共生フォーラムに協力するなど、相互理解を深める活動を行っています。
※古河市国際交流協会のホームページは本紙7ページの二次元コードからご覧ください。

■インタビュー
○高校生ボランティア(古河第三高等学校)
高橋琉音(るのん)さん(右)
三苫愛希(みとまあきさん)(左)

昨年10月に学校の探究活動を通して日本語教室に参加したことがきっかけで、今も時間を見つけてボランティア活動をしています。交流する中で日本語の難しさを実感したのと同時に、お互いを理解したい気持ちがあれば、ジェスチャーなどで意思疎通ができると気付かされました。いつか海外で働いてみたいという夢があるので、教室への参加は貴重な経験になっています。
慣れない場所で不安な人も多いと思いますが、会話を通して交流できればうれしいです。

○古河市国際交流協会会長
神山裕一さん

国際交流協会は、もうすぐ設立20周年を迎えます。設立以来、市内3カ所で4つの日本語教室(無料)を開催してきました。今後も日本語教室のほか、イベントや生活支援活動など、会員、非会員を問わずにみんなで楽しく交流を図りながら活動を行います。
古河市は25人に1人は海外にルーツを持つ人が住むまちになりました。国籍に関係なく、同じ地域に住む住民同士が快適に生活できるよう、共に支え合うことが大切です。
日本語教室やウィンターフェスティバルなどのイベントに、お気軽にお越しください。一緒に国際交流を楽しみましょう。