文化 黒羽芭蕉の館だより 第107回

■黒羽藩家老達書控(たっしがきひかえ)
今回は、黒羽藩家老達書控を紹介します。本史料は1冊の冊子に仕立てられており、寸法は縦25.5cm、横18.6cmで、全48丁です。文化8年(1811)11月2日から同11年2月にかけての黒羽藩家老の達書が記録されています。
掲載写真(本紙参照)は、第29丁裏・第30丁表で、第29丁裏(写真の右)には文化10年(1813)の5月付の家老達書が記録されています。内容は、このたび藩主大関増業(おおぜきますなり)の意向により、宝寿院(黒羽城三の丸の一角)のところに「素読所(そどくじょ)」が設けられ、二人の藩士が師範を命ぜられたので、5月9日の四ツ時(午前10時)から登校して学ぶべきであり、「侍以下」でも学ぶ意志のある者は、師範両名に伝えて学ぶべきだ、というものです。この四書五経(ししょごきょう)などの漢籍を素読する施設は、同年10月に「何陋館(かろうかん)」と名付けられ、黒羽藩校として整備されていきました。増業は同年1月には、武道場「錬武園(れんぶえん)」を城内に設けており、藩士の子弟に文武両道を兼修させる環境が整えられるところとなりました。
今回紹介した史料は、黒羽藩校の出発点を示す貴重なものということができます。本史料は、当館企画展「明治のナイチンゲール大関和のふるさと黒羽と医療」(10月8日(水)~令和8年3月1日(日))において展示しますので、ぜひご覧ください。

問合せ:黒羽芭蕉の館
【電話】0287-54-4151