くらし Person of the Moment ITSUZAI

■写真愛好家
豊田和代(Toyoda Kazuyo)
昭和21年生まれ、加須市在住。
第73回埼玉県美術展覧会に出品した組写真『気配』で埼玉県教育委員会教育長賞を受賞。見る者の視線を自然と上から下へ導く構成と、最下部の一枚にひっそりと映る作者の影が印象的であると高い評価を得た。

写真との出会いは偶然だった。30歳を目前に控えた頃、目に留まった写真店の求人に導かれるように応募し、そこから約30年間勤務。仕事の傍ら、「孫の成長を撮ることも大きな楽しみだった」。最近は、街中で声をかけて人物を撮るのも楽しみの一つ。相手の様子をよく見て、声をかけるタイミングを見極める。
自然や風景を中心としたネイチャー写真を撮り続けてきたが「もっと違う表現にも挑戦したい」と思い、3年前から組写真に取り組むようになった。複数の写真を組み合わせて一つの作品とするため、全体のトーンを揃えることを心掛け、編集ソフトも使いこなす。月に一度は浦和の教室に通い、増田明弘氏、小林進氏の指導のもと、表現の幅を広げている。
また、恩師・佐藤親正氏への感謝も忘れない。「佐藤先生からしっかりと基礎を学べたからこそ、今があり、数々の受賞につながっている」と言う。
どんなときもカメラを携え、一瞬を逃さない。軽やかな足取りで、今日もまた一瞬を探しに行く。