健康 市民病院・ワンポイントクリニック

■アレルギー性鼻炎について
耳鼻咽喉科医師 西山秀徳(にしやまひでのり)

アレルギー性鼻炎は反復性のくしゃみ、鼻漏(水様性鼻汁)、鼻閉(鼻づまり)を3主徴(3つの主な特徴)とします。発症時期によって通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎に分けられ、季節性アレルギー性鼻炎の代表は花粉症です。
全国調査によるとアレルギー性鼻炎の有病率は平成10年から令和元年までの約20年間で著しい増加を認めており、特にスギ花粉症の増加が目立っています。令和元年の有病率は通年性アレルギー性鼻炎が24.5%、スギ花粉症が38.8%となっています。また、年齢層別有病率では通年性アレルギー性鼻炎では若年齢層、スギ花粉症では中高年齢層まで高率で、特に令和元年の調査では初めて5~9歳の低年齢層におけるスギ花粉症の有病率が通年性アレルギー性鼻炎よりも高率になりました。
アレルギー性鼻炎の検査は問診、鼻腔内所見、鼻副鼻腔X線検査、皮膚テストなどがあります。耳鼻咽喉科では問診、鼻腔内所見(粘膜の状態、水様性鼻汁など)を観察し、典型的症状を呈する場合は臨床的診断確定と判断します。
治療に関しては(1)患者とのコミュニケーションをベースに(2)セルフケアとしての抗原の除去と回避(3)薬物療法(4)アレルゲン免疫療法(5)手術療法があります。
治療法の選択は重症度、患者のライフスタイルで決定します。アレルゲン免疫療法は100年以上前から行われている治療法です。アレルギーの原因物質を含む治療薬を皮下に注射する皮下免疫療法や、舌下免疫療法という、アレルギーの原因物質を少量ずつ舌の下に投与することで、体質を改善していく治療も現在注目されています。薬物治療を行ってもくしゃみや鼻漏、鼻閉の改善が乏しい方は手術加療を検討してみてもよいかと思います。また、アレルギー性鼻炎ではなく、副鼻腔炎(蓄膿症)を併発している場合もあるため、鼻のことでお困りの症状がある方は耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。