- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県鴻巣市
- 広報紙名 : 広報こうのす「かがやき」 令和7年3月号
並木市長が訪問した企業や事業所、市民活動団体を紹介します。
■今回紹介するのは
株式会社HATAKENI IKO
所在地:鴻巣市広田3306
今回市長が訪問したのは、鴻巣市広田でキュウリ、トマト等を栽培する馬場さん一家。株式会社HATAKENI IKOを経営しています。
ビニールハウスに入ると、大人の背丈ほどの1︐200本のキュウリの苗が並び、青々としたキュウリと土の香りに包まれます。
夏野菜のイメージが強いキュウリですが、訪問した12月には9月に植えた冬キュウリの栽培が行われていました。
▽畑に行こう!うまい野菜は畑にある!
「野菜は鮮度が命。採った瞬間から鮮度は落ちていく。採れたては味が全然違います」と話す父の毅さん。幼い頃から農業に励み、農業歴は40年以上。四百年続く先祖代々継承されてきた土地を大切に守ってきました。
採れたてキュウリの味噌マヨ添えをいただくと、パリッとして瑞々しく柔らかな食感で、普段食べているキュウリとの違いは明らか。「だから、ぜひ畑に来て野菜を食べてもらいたい」と言うのは長男の勝也さん。株式会社HATAKENI IKOを立ち上げ、農業・体験イベント事業・加工品事業を主力に事業展開し2年目になります。「当初から体験イベントは絶対にやりたいと思っていました。野菜の収穫体験や田植え体験を実施していて、都内から来る家族も多く、はじめは乗り気でなかった子も、キュウリの収穫体験では、まるで宝探しのように大きいキュウリを探して採って、本当に楽しそうです」
次男の卓也さんは、「土に触れて野菜を採り、その場で食べるという体験が、お子さんはもちろん、日々働いて疲れきっている大人の癒しにもなるようで、帰るときには皆さん笑顔になっています。ぜひ多くの方に体験していただきたいです」と話してくれました。
▽兄弟でUターン移住し就農
勝也さん、卓也さんともに、都内でサラリーマンとして多忙な毎日を送っていたといいます。卓也さんは「定年まで会社で働き続けるビジョンが描けず悩んだときに、父や兄が楽しそうに仕事をしている姿を見て、自分も農業の道に飛び込みました。実際にやってみたらすごく大変ですが(笑)」と話します。
勝也さんとの結婚を機に引っ越してきた麻美さんは他県出身で、以前は都内で営業職として勤務していました。「ここは、子育て支援や施設が充実していて、ほどよく田舎でのどかな風景が心地いいです」と言うと、勝也さんが「一度市外に出ると鴻巣の良さが分かりますね。だから、戻ってきたんです」と話してくれました。
▽農業の難しさ、家族で乗り越える
キュウリは、一本の苗から100以上収穫でき、収穫がはじまると休みなく100日間連続で採り続けます。繁忙期の夏は収穫作業に5時間以上かかることも。選果・箱詰め、枝・芯の手入れなど、日々こなさなければならない作業も多くあります。
卓也さんは「会社員として働いていたときは、トライandエラーの繰り返しで失敗から学ぶことも多かったのですが、農業は植えてから収穫までが一連の流れ。だから、トライのチャンスが1年に2回程度しかないので、何が原因で成功したか、失敗したかという検証が難しいのが農業の大変さですね」と言い、勝也さんが「仲良くなければやっていけないよね」と言うと、笑いながら家族が顔を見合わせます。家族でひとつのチームとして農業に取り組み、困難を乗り越えていました。
▽新鮮野菜で感動を届けたい
キュウリはもちろん、栽培をはじめたトマトやアスパラも、令和10年度に完成を目指す市の「道の駅」に出荷したいと意気込みます。「新鮮野菜で感動を届けたい」その強い想いが原動力。新たな挑戦は続きます。
1.農業のこれからについてお話を伺いました
2.キュウリの収穫体験をさせていただきました。上から下まで葉に隠れたキュウリを探し収穫するのは大変な作業です
3.選別された真っ直ぐなキュウリ。曲がったキュウリは、漬物屋や加工所へ行きます
4.採れたての新鮮なキュウリを味噌マヨ添えでいただきました。青空の下で頬張ると格別のおいしさでした
■懇談を終えて
「のすぱ」などの市のイベントにいつも出店していただいており、気になる市内企業のひとつでした。農家の皆さんの丁寧かつ地道な作業により、私たちの食卓に美味しい野菜が並んでいることを実感しました。
毅さんの長年の経験に基づく知識と勝也さんたちの企画力・アイデア・行動力で広がる農業の可能性。引き続き市は農家さんを応援します。市民の皆さんも、ぜひ地元の食材を食べて応援しましょう。
▽野菜販売や農業体験イベント等のご案内は、HATAKENI IKO公式インスタから配信しています
▽市HPには、麻美さん直伝の簡単にできる美味しいきゅうりのレシピを掲載中