くらし 〈特集1〉~旬な農作物が勢ぞろい~採れたて!しきの野菜市(2)

■七色畑がつなぐ人と野菜
志木市は都心から近い住宅都市である一方、市内には農地が点在し、さまざまな農作物が生産されています。農家の相談窓口として農業を支えるほか、「しきの野菜市」で志木産の農作物を販売するJAあさか野職員の梶さんに、志木の農業の特徴や「しきの野菜市」で出品する農作物について伺いました。

□農家の心強いパートナー、JAの営農活動
JAあさか野 営農指導員 梶原野(かじげんや)さん
梶さんは、JAあさか野の志木地区担当として15年以上にわたって農家と関わり、地域を支え続けてきたベテランの営農指導員です。営農指導員は、農家のパートナーとして、農家の経営指導から農作物の育て方、病害虫の対策、新しい品種の提案などの技術指導に至るまで、農業に関するさまざまな相談に対応し、現場に寄り添った支援を行っています。
営農活動の一環として「しきの野菜市」にはJAが毎回出店し、農家の皆さんが丹精込めて育てた野菜やお米、はちみつ、地域の加工品などを販売しています。販売する野菜の中でも特にトウモロコシや枝豆、小松菜が人気となっています。

□小規模でも多彩な志木の「七色畑」
志木の農地は住宅街に点在しており、広大な面積の畑を確保することが難しい状況です。そのため、野菜農家の多くは限られた面積を生かして少量ずつ多品目の野菜を生産する都市近郊農業を主流としています。「昔は人参が有名でしたが、今はどれかひとつが突出して多いわけではなく、大根、ほうれん草、里芋など、さまざまな野菜が生産されています。そのため志木の農地には、“七色畑”と呼びたくなるような多様性があります。」と梶さんは話します。
都市近郊農業で生産される野菜の多くは、市場だけではなく、JAあさか野の直売センター、スーパーの地場産コーナーや自宅前での庭先販売(直売所)などに出荷されています。

□川沿いの土地を活かした稲作
志木市の農作物で最も生産量が多いのはお米です。かつての荒川沿いは、湿地帯であったことから水田に適しており、現在でも宗岡地区を中心に稲作が盛んに行われています。「志木で長年稲作が続けられているのは、水と肥沃な土に恵まれている土地だからです。」と教えてくれました。
有志の農家が取り組み、JAが支援している「宗岡はるか米」は、低農薬・低化学肥料で育てられた「特別栽培米」として埼玉県から認証を受けており、地元で大切に作られているブランド米として知られています。

□地産地消で支える志木の農業
志木の農作物は地元スーパーの地場産コーナーや庭先販売で購入することができます。「農家さんと市民の距離が近いのは、志木の大きな強みです。自転車で買いに行ける範囲に農家がいるって、実はすごいことなんですよ。志木は地産地消のすごく良いモデル地域なので、どんどんPRしていきたいですね。」と熱い想いを語ってくれました。志木は都市部の中でもさまざまな農作物が作られている地域のため、スーパーや直売所に足を運んだ際は、ぜひ地元で育てられた農作物を手に取ってみてください。

■食卓を支える志木の生産者
下宗岡で代々受け継がれる金子ファームの金子さんは「しきの野菜市」にも出品するなど地域の食卓を支えています。地域の農家として親しまれている金子さんに農業に対する想いと野菜市に出品するトウモロコシについて伺いました。

□花農家から米・野菜農家へ
金子ファーム 金子秀之(かねこひでゆき)さん
もともと花農家として胡蝶蘭(こちょうらん)やパンジーなどを生産していた金子さんは、米農家であった父から譲り受けた田んぼを生かすため、米の生産をはじめました。今では約2ヘクタール(2万平方メートル)の田んぼで米を生産しています。
金子さんが野菜の生産をはじめたのはここ数年のことで、一部の田んぼを畑に転換し、JAの指導を受けながらトウモロコシ、ニンニク、ブロッコリー、カリフラワーなど田んぼの土でも育つ野菜の栽培に取り組んでいます。「この土には何が合うか」を常に考えながら畑の特性と向き合い、さまざまな野菜の栽培に挑戦しています。金子ファーム金かね子こ秀ひでゆき之さん

□朝3時起き!トウモロコシは夜明け前が勝負
金子さんの育てるトウモロコシのこだわりは「朝採り」です。糖度を最大限に維持するため、日が昇る前の3時から4時に収穫作業をはじめます。「太陽が昇ると甘みが逃げちゃうんです。だから早朝が勝負なんです。」と金子さんは話します。収穫されたトウモロコシは、直売所でお昼前には完売してしまうほど人気でリピーターも多く、購入した人からの「甘くておいしい」という声は金子さんの励みになっているそうです。
金子さんのイチオシは、めずらしい赤いトウモロコシです。「黄色いトウモロコシに比べて甘みは控え目ですが、トウモロコシご飯にすると、赤飯みたいで面白いですよ。」と教えてくれました。

□地元で育て、地元へ届ける
「今後はキャベツや白菜など、さらに新しい野菜にも挑戦したい。これからもこの土地に合った農作物を作り、地域の皆さんに届けたいです。」と想いを語ってくれました。金子さんの作る野菜は、直売所(下宗岡3-16-39付近のいろは通りに面した畑周辺)で購入できます。地元で育った新鮮な野菜を、ぜひ一度味わってみてください。

直売所での販売時期:
・5月下旬~7月中旬…ヤングコーン、トウモロコシ、夏野菜
・9月上旬…米
・11月~12月…ブロッコリー、カリフラワー

▼いつもよりちょっと贅沢に!
『赤いトウモロコシご飯』
赤いトウモロコシをお米といっしょに炊くと、お米に赤い色が移り、鮮やかに炊き上がります。見た目も味もいつものご飯より贅沢(ぜいたく)な、食卓にちょっとした驚きと笑顔を届けてくれる一品です。

▽材料(2合分)
米…2合
トウモロコシ…1本
料理酒…大さじ1
塩…小さじ1

▽作り方
(1)トウモロコシの皮をむき、半分に切る
(2)包丁で芯から実を切り落とす
(3)研いだ米に2合分の水、料理酒、塩を入れ軽く混ぜる
(4)トウモロコシの実と芯を入れて炊く
(5)炊き上がり後、芯を取り除いてから軽く混ぜ合わせて完成

問合せ:産業観光課
【電話】048-473-1136