くらし 【特集】共助の力で災害に備える
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- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県富士見市
- 広報紙名 : 広報富士見 令和7年9月号
■大切な命を守るために
本市は、木造住宅が密集した市街地や狭隘(あい)な道路など、地震や火災などの被害を受けやすい地域があるほか、都市化が進み、アスファルトやコンクリートに覆われた地域が多いことから、集中豪雨による都市型水害も懸念されています。
また、本市で近年発生した主な災害では、平成28年8月の台風9号、平成29年10月の台風21号、令和元年10月の台風19号などにより、一部の地域で床上・床下浸水のほか、一時的に道路冠水などの被害が発生しました。
大規模災害発生時には、市や県、消防、警察といった公的機関による救助・援助である「公助」だけでは市民の命を確実に守ることが難しいと考えられることから、これまでの大規模災害の教訓を生かし、「自助」・「共助」による地域防災力を高めるとともに、連携して減災を図るための取り組みを強化することが重要です。
9月は台風の襲来が多い季節です。大切な命と財産を守るために、富士見市防災ガイドブックを読み返す、家庭の備蓄品を見直すなど、改めて身の周りの防災についてご確認ください。
■富士見市版防災士を育成
市では、地域防災力のさらなる向上のため、自主防災会の活動の活性化や防災活動に精通した実践的な人材を育成することを目的に、平成26年度から「富士見防災リーダー養成講座」を開催しています。
本講座では、防災リーダーの心構えや役割、自主防災組織に関する講義を始めとして、実際に市内で発生する可能性のある災害を想定し、地図を用いて災害発生時の行動を考える「災害図上訓練(DIG)」、避難所におけるペットの同行避難について学ぶ「ペット防災講座」、避難所における避難者、設備の配置をゲーム感覚で疑似体験できる「避難所運営ゲーム(HUG)」など、災害発生時に実践的な行動が取れるよう、富士見市版防災士を育成するためのプログラムを構成しています。
本講座は、今年で11回目の開催となり、今までに235人の防災リーダーを育成してきました。
大規模災害発生時、被害の拡大を防ぐためには、お互いに協力しながら、防災活動に組織的に取り組むことが必要です。日ごろから地域の防災訓練などに参加して、共助により、地域の防災力を高めましょう。
■INTERVIEW
鶴瀬西2丁目南町会で町会長を務める大矢奈苗さんに、富士見防災リーダー養成講座の受講を通じた災害への意識の変化などを伺いました。
◇富士見防災リーダー養成講座を受講したきっかけは
鶴瀬西2丁目南町会で自主防災組織を設置したことです。これまでも小学校区の防災訓練などには参加していましたが、防災に関する実践的な知識をこの機会に改めて身に付けたいと思ったことが受講のきっかけです。
また、町会にお住まいの方々からも、実際に災害が発生した際にどのような対応ができるのか、といった町会内での防災活動・災害対応に対する漠然とした不安の声をいただいていたこともあり、いざという時に役に立ち、町会での活動に還元できるような防災情報を収集するためにも受講しました。
◇富士見防災リーダー養成講座を受講しての学びや意識の変化は
講座のカリキュラムの一つである災害図上訓練(DIG)では、人や建物、地形や災害情報を実際の市の地図に書き込むことで、具体的に市内の多くの地域で水害の危険性が高いこと、また、火災が起きた際にはどのように周囲に影響が出るのかなどを学び、改めて災害はひとごとではないという意識を持ちました。そして、避難所運営ゲーム(HUG)を通じて、災害発生時の避難所運営では、避難者が殺到しても慌てずに待ってもらい、避難者の情報を集めることを優先し、情報に基づいて避難所内の配置を事前に決めてから案内することで、適切な避難所運営を図ることができるという具体例を学びました。
令和元年10月に発生した台風19号では、市内の一部の地域で被害が生じ、避難所の開設が難しい状況の中で、市内の安全な地域での避難所開設を検討・準備したとのことでした。災害は、住んでいる地域で被害がないと「自分には関係ない」と考えてしまうかもしれませんが、被害のあった地域をサポートすることはできます。講座の受講後は、災害情報をこれまで以上にこまめに確認したり、災害発生時には当事者意識をより強く持つようになりました。
今後は、講座で学んだことを自主防災組織での防災活動、町会内での防災意識の向上、災害発生時の対応に生かしていきたいです。また、この講座を町会内でも多くの方に受講していただき、講座の受講をきっかけにした地域の防災活動の参加につなげていき、町会・地域の人の輪、そして、共助の力を広げていけたらと考えています。
■INTERVIEW
アイムふじみ野町会において防災活動に取り組むアイムふじみ野防災会に災害への備えについて伺いました。
◇地域の特性を踏まえた備えとは
アイムふじみ野防災会では、令和6年1月1日に発生した能登半島地震において、現地では断水の影響でトイレが使用できなくなったことが大きな問題になったことを知り、まずは、高層マンションであるアイムふじみ野ではどんな対策が必要なのかを議論することから始めました。
地震などの災害の影響で水道や下水道が使用できなくなった場合、マンションで生活するうえで一番困ることはトイレが流せなくなることという意見があがりました。高層マンションという特性上、居住する階から屋外のトイレに移動することは、高齢者を含めて負担が大きいということもあり、簡易トイレを購入し、断水時に備えています。ミネラルウォーターなどをはじめとする食料はもちろん必要ですが、住んでいる地域や建物によって備える必要がある物品が変わってくることから、地域の方々と話し合い、その地域ではどういった備蓄品が必要なのかを踏まえ、備えることが重要だと感じています。
アイムふじみ野防災会としては、今後も専門的な意見を踏まえ、さらなる備蓄品の充実に向けて取り組んでいきたいです。
問合せ:危機管理課
【電話】049-256-7962
■自主防災組織の設置・活動の支援を行っています
市では、自主防災組織の活動費用の補助や防災資機材・防災倉庫の設置に要する費用の補助などのほか、未結成の地域には結成に向けた相談の受け付け、結成に要する費用の補助を行っています。
また、町会や自主防災組織の活動において、防災訓練の実施や防災倉庫の備蓄品など、防災活動に関する相談も受け付けています。
問合せ:危機管理課
【電話】049-256-7962