くらし 新 地域おこし協力隊通信 第24回

各隊員の活動を詳しくお伝えする地域おこし協力隊通信。第24回は芦田央さんの活動を紹介します。

小鹿野町に初めて来たのが「稲刈り」の季節だったので、ちょうど今くらいでした。お手伝いに来たその田んぼは、鎌を使って稲を手で刈るスタイル。とてもとても大変な作業なのに、なぜかその日は、数年に一度しか引かない風邪にやられている日で、輪をかけて大変だった記憶があります。これが、私と小鹿野のファーストコンタクトです。
そこからひょんなご縁で地域おこし協力隊になりまして、この文章を書いている9月末で、就任から9ヵ月間が経ったことになります。早いですね。
私は「まちづくり観光課移住定住推進室」に所属していますので、普段は「移住・定住」を切り口に、小鹿野町に移住したいと思う人が少しでも増えるよう、様々なことに取り組んでいます。そのなかでも、やはり私が小鹿野町と関わるきっかけにもなった「農業」を軸に、移住促進に関わっていきたいと考えています。私が好きであるということ以外にも、「移住」と「農業」は相性が良いと考えているからです。(私自身がそうだったように。)
「農業」は都会に住んでいる人たちからのニーズもあります。数メートル四方の農地を月に数万円でレンタルし、そのうえ人気が集中して抽選になっている農地もあるほどです。昨今のお米を始めとした物価の高騰も、その傾向を後押ししています。
加えて作物は1回植えただけでは当然、おいしく育てて収穫することはできません。日々の観察や草刈り、水をあげたり剪定したり草刈りしたり、日常的なお世話が非常に重要です。あと草刈りとか。何が言いたいかといいますと、「継続性」を持たせられるということです。移住希望者が都会から、例えば農業体験をしに来る。何かを植える。そうすると、植えた子たちがどうなったのかが気になるので、2回目、3回目と小鹿野へ継続的に足を運ぶ。
もちろん、事はそうかんたんには行きません。ですが私自身が、そのようにして小鹿野に関わり移住するに至っているので、再現は可能です。小鹿野町には農業の大先輩がたくさんいらっしゃいます。「農業」を軸にした移住促進のアイディアをもしお持ちであれば、ぜひアドバイスを…そうでなくともただお声をかけていただくだけでも嬉しいです。たいていは、役場の移住定住推進室のデスクで仕事しています。
最後にもう一つ。私は東京にも拠点を残しながら、小鹿野と二拠点で日々の業務や農業に取り組んでいます。「二拠点生活」というやつです。最近少し心境の変化があったので、それをお伝えしたく。
最初のころは、車を2時間運転して東京の自宅に行った時に「ふう、帰ってきたな」という安堵感があったのですが、夏くらいから小鹿野に帰ってきた時にも、そう感じるようになりました。2つの家でそのように思うのは、自分でも不思議な心持ちです。
まだまだ小鹿野1年生の若輩者ではございますが、そんな私なりにも小鹿野に愛着があるということだと思います。協力隊としての責務を全うするのは当然ですが、それだけではなくもっと色んな人と接し、関わって、住民票があるという形式的な意味だけではなく「小鹿野町民」になれたらなあと思っていますので、今後とも宜しくお願い致します。