- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県山武市
- 広報紙名 : 広報さんむ 令和7年4月号
■母から娘 子どもたちへ引き継ぐ平和への祈り
Who are you? Iamアリス・プレーブル――
~友情は国境を越えて「青い目の人形」の物語~
昭和2年、アメリカ合衆国から国際親善の証として日本各地に贈られた「青い目の人形」。千葉県に現存する11体のうち「アリス・ブレーブル」と名づけられた1体が成東小学校で大切に保管されています。
成東小学校では、児童たちが戦争や平和について学ぶ一環としてこの人形にまつわる秘話を伝えている「房の会(山武支部退職女性教職員の会)」から紙芝居でお話を聞きました。
紙芝居は「青い目の人形秘話」と題され、日米の親善大使として贈られた人形が戦時中に「敵国人形」と処分命令が出る中、「人形に罪はない」と非国民と呼ばれる覚悟で守り抜いた並木久栄さんの母、久子さんの思いを描いています。
決して他人事ではないこの実話に、児童たちは「もし自分なら、アリスをどうしただろう」と真剣に耳を傾けていました。
紙芝居の後、戦時中の国民学校※(小学校)で銃を持った訓練の様子を竹内規久枝さん(90歳)が語ります。
「当時、大人は戦争に駆り出されていたため、子どもは重要な働き手でした。田植え、麦踏み、草刈り、軍馬の食料である干草作りなどしていました。あと女の子は弾薬庫に保管された弾薬を油雑巾で拭く『球磨き』をしたことが強烈な思い出です」。
※国民学校とは、昭和16年から22年までの日本の小学校の名称のこと
房の会の並木さんは、「アリス・プレーブルは、日米の友情の証として贈られました。時代を超えてこの人形が存在していることが、平和の大切さを語りかけています。子どもたちが自ら考えるきっかけになれば」と語りました。
最後に、並木さんが「平和な世の中を作るのはみんな次第。気持ちをおおらかに」と呼びかけると、竹内さんも「これから楽しい思い出をたくさん作ってほしい」と児童たちに語りかけ、授業を締めくくりました。
・戦時中に学校で起こった出来事を鮮明に語る竹内さん(右)
・山武市内の山林に落ちていた戦時中に使われていた銃の薬莢
・「青い目の人形」の歴史から平和の大切さを語る並木さん
◆市民記者が行く
平成28年
広報さんむ5月号P.24
成東小
「青い瞳の人形」秘話
▽詳しくは、広報紙掲載の二次元コードからご覧ください。
◆「青い目の人形」アリスちゃんの歴史を紐解く
1924年に「排日移民法」が成立したことで日米両国の対立を憂いたアメリカ人宣教師シドニー・ルイス・ギューリックが組織する「世界児童親善会」から、昭和2年(1927年)春、「日本国際児童親善会」(会長:渋沢栄一)に12,739体の人形が託され、日本の小学校・幼稚園・図書館に配布された。日本では「親善の人形」と称し、通称「青い目の人形」と呼んで歓迎し、その答礼に、58体の高級人形がアメリカに贈られた。しかし、多くは太平洋戦争中に「敵国の人形」として廃棄処分され、現存するのは全国で300あまりにすぎない。山武市では成東、鳴浜、緑海、日向、睦岡、松尾、蓮沼の各小学校に贈られたが、現存するのは成東小学校所蔵の「アリス・プレーブル」と名付けられた人形だけである。
(市指定文化財)
※詳しくは広報紙P3をご覧下さい。