- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県九十九里町
- 広報紙名 : 広報くじゅうくり 令和7年4月号
■「日本の病院事情:海外との比較」
地方独立行政法人東金九十九里地域医療センター
理事長 河野 陽一
欧米の病院と比べてみると、日本の病院には際立った特徴があります。まず病院数ですが、2021年の調査では、日本は8,205病院で、2位のアメリカ(6,129病院)を抜いて世界で1位です。国土の広さを考えると、高い密度ですね。実際、人口1000人当たりの病床数でみても、日本の12.8床に対して、アメリカは2.8床、イギリスは2.5床と主要国中日本はトップです。一方で、いわゆる大病院と言われる500床以上の病床数を持つ病院は全体の5%と少なく、200床未満の病院が大部分を占めています。すなわち、日本は小規模病院が密に分散している医療提供体制ということになります。
それぞれの国において医療の歴史や事情もあり、異なった体制がとられています。日本やアメリカの病院は大半が民間運営であるのに対して(日本の公的病院の割合は20%ほど)、イギリス、フランス、ドイツなどは、大半が公的病院であり医療は公的な仕組みで運営されています。また、日本では、一人当たりの年間受診回数が欧米に比べて多く、医療費増加の一因とも言われていますが、容易に医療機関に相談できることは、がんなどの早期発見につながることもあり、また、病院が身近にあると健康に安心して過ごせます。
このような医療体制の元に日本は世界のトップクラスの健康大国になっていますが、一方で医師数は十分ではなく(人口あたりの医師数は、2019年調査で日本は世界で32位)、医師の頑張りが医療を支えてきた一面もあります。2024年から始まった医師の働き方改革により労働時間の適正化が進められていますが、医師の働く時間の制限につながる面もあり、診療規模を縮小している病院もあるようです。
東千葉メディカルセンターでは、医師は順調に増えてきており、病院機能の維持に問題なく、稼働病床数の拡大や新たな診療科の開設も予定しています。
問い合わせ:東千葉メディカルセンター
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