くらし 第3回区議会定例会区長招集あいさつ (1)

令和7年9月17日、高際区長が行なった、招集あいさつの抜粋・要約です。

冒頭に、令和7年9月4日に逝去された片桐昌英豊島区町会連合会会長に、謹んで哀悼の意を表します。また、片桐昌英さんが力を尽くされた、人と人とがつながる地域づくり、安全安心なまちづくりへの貢献に、心から感謝します。

1.令和6年度決算について
一般会計決算額は、歳入が1,545億円、前年度比72億円の増、歳出は1,497億円、前年度比56億円の増でした。
歳出は、区独自の物価高騰対策に取り組むとともに、11次におよぶ補正予算を編成し、「出産費用の実質無償化」など、区民の声に寄り添った施策を展開しました。歳入は、特別区民税が定額減税の影響により、3億円の減となる328億円、特別区財政調整交付金は、0.6億円の減となる376億円でした。「経常収支比率」は、物価高騰の影響により、81.7%と昨年度比で2.1ポイント上昇し、「公債費負担比率」は、昨年度と同様の2.6%でした。このほか、健全化判断率の4指標は、いずれも国の基準を大幅に下回っています。基金は、義務教育施設整備基金と公共施設再構築基金を取り崩さず、財政調整基金残高は176億円を確保しています。なお、区債残高は、3億円増となる205億円でした。
今後は一層、既存事業の再構築を繰り返しながら、新たな行政ニーズに対応できる施策を展開するとともに、基金や起債を最大限に有効活用しながら、中長期的な視点に立った持続可能な財政運営の実現に努めます。

2.安全安心について
(1)全救援センターでの開設訓練実施
救援センター(避難所)の開設訓練は、今年度から全ての救援センターで毎年実施します。訓練には、町会や救援センター配備職員のほか、救援センターとなる学校に通う児童・生徒や保護者、防災士、女性防災リーダーが参加しています。訓練は、学校の鍵を開けて入るところから始め、施設の点検、避難者の受付・受け入れなど過程をたどりながら、ペットの同行避難訓練も含め、実践的に行います。
(2)内閣府主催避難生活支援リーダー/サポーター研修
令和7年7月、内閣府が主催する「避難生活支援リーダー、サポーター研修」に、本区が都内の自治体として初めて参加しました。この研修は、避難生活で発生する様々な問題を学ぶ実践型研修で、防災士や女性防災リーダー、障害のあるかた、外国人など、高校生から80代までの52名が参加しました。この研修で得た学びを、今後の防災士や女性リーダーなどの育成や区民主体の訓練の強化に活かします。
(3)としまDOKIDOKI防災フェス2025・ジュニアリーダー講習会(防災キャンプ)
令和7年10月13日、医療関係者、企業、消防、警察など55団体が参加する「としまDOKIDOKI防災フェス」を開催します。災害医療が学べる展示や防災用品の紹介のほか、初期消火や起震車などの体験、区民提案事業で選定された防災マップの作成など、遊びながら学べるブースを用意しています。
また、8月にみらい館大明で実施したジュニアリーダー講習会では、初めて防災をテーマとしたキャンプを実施し、段ボールベッドなどの防災備蓄品の使い方や夜の避難訓練などを経験しました。
今後も、子どもからおとなまで楽しみながら防災を学べる事業を実施し、区民一人ひとりの防災意識の向上や備えにつながる機会を設けていきます。
(4)総合防災訓練
令和7年9月2日、職員470名が参加し、区役所総合防災訓練を実施しました。都心南部を震源としたマグニチュード7.3、最大震度7の首都直下地震が発生した想定で、発災から7時間の初動対応と発災後の動きを検証しました。さらに、トイレ対策検討部会、生活再建支援検討部会、震災復興検討部会、遺体取扱検討部会が、救援センターでの実働訓練などを実施しました。今回の訓練で見えた課題を改善し、より実践的な訓練をしていきます。
(5)区公式LINEを活用した防災機能
令和7年9月下旬から、区公式LINEを活用して、オンライン申請やチャット相談、配信内容と利用者ニーズをマッチさせるセグメント別の情報配信など、行政サービスがスマートフォンで完結する機能の運用を開始します。さらに、防災面の新たな機能も実装されます。スマートフォンで氏名、住所、生年月日、性別を事前に登録しておくことで、発災時に救援センターでスマートフォンを利用した避難者受付が可能となり、受付時間が大幅に短縮できます。今後、様々な機会に事前登録を勧めていきます。
(6)東京芸術劇場前公衆喫煙所の開設
令和7年9月1日、かねてより要望が多かった池袋駅西口の路上喫煙やたばこのポイ捨て対策として、東京芸術劇場前に区内初となるコンテナ型の公衆喫煙所を開設しました。これを機に、「特別強化週間」として、シルバー人材センターのシルバースターズによる周知啓発と警備員による注意・指導を強化し、午前7時から午後10時まで対応にあたりました。さらに、区が地域や周辺企業の皆さまと連携して、夜間の清掃活動および喫煙所への誘導と、池袋西口エリアの飲食店に新喫煙所の周知協力を依頼しました。10月までを環境美化の「重点取組月間」とし、地域や関係機関が一体となって周知啓発活動を継続します。また、ほかの地域へのコンテナ型喫煙所の設置についても、引き続き検討を進めます。
(7)民泊条例の改正に向けた検討状況
本区では、平成30年に「豊島区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」を制定しましたが、民泊営業の区域や期間の制限を規定していませんでした。現在の届出住宅数は、条例制定時の2.5倍以上となる1,750件を超え、苦情の件数も増加しています。令和7年6月の全町会を対象としたアンケート調査では、切実な訴えが多数寄せられ、「区域を定め期間を制限すべき」という意見が約9割にのぼりました。7月には、豊島消防署や池袋消防署と意見交換を行い、9月には、豊島区観光協会や町会連合会、警察、消防、区内の民泊経営者などを委員とした条例改正等検討会を開催し、生活環境の悪化防止のため、区内全域で営業期間を制限する方向で意見がまとまりました。多くの区民の皆さまから寄せられた不安の声に応えるため、条例改正案については、パブリックコメントを実施し、次の第4回区議会定例会で提案できるよう、スピード感をもって準備を進めます。