くらし 第3回区議会定例会区長招集あいさつ(2)

3.池袋保健所移転について
新たな保健所は、名称を「豊島区保健所」に改め、災害時医療対策本部機能や相談体制などの専門機能を強化し、基本計画に掲げる「健康に関する気づき」、「こころと体の健康づくり」を推進する、予防に重点を置いた健康づくりの場とします。保健師などの専門職コンシェルジュが常駐する「わたしメンテラボ」を設置し、常時6つの測定機器による健康測定ができるほか、女性のライフステージに応じた悩みが相談できます。また、「病気未満」のかたや多忙なかたに対する健康づくりのサポート、「ユースヘルス相談」(思春期の若者向け相談)の機能も充実します。
令和7年7月に、楽しみながら健康への関心を高めるための実証事業や、健康情報を獲得する技術などの研究に取り組んでいる、慶應義塾大学SFC研究所と締結した「健康施策の推進に向けた連携協定」に基づき、10月の「こころまつり」や12月の「ふくし健康まつり」で、健康測定の結果から自分の健康づくりに役立つ情報が得られる「AI実証事業」を実施します。AIが紹介する、区内のおすすめスポット巡りや文化・スポーツイベントなどの情報を参考に、楽しみながら、歩く、運動するなどの行動につなげていただきたいと考えています。

4.区民ひろばを活用した居場所について
(1)夏の子ども居場所創出事業
第2回定例会の補正予算で議決した「子ども居場所創出事業」は、アーバンスポーツ体験会や、とうきょうこどもクリエイティブラボなどが新たに加わりました。また、「静かな自習室」として、区内5か所の区民ひろばに併設する集会室のほか、区民ひろばの空室も開放しました。子どもレターでも、自宅以外の静かな無料の自習室を望む声が多数届いていますので、夏休み以外の実施も検討します。
(2)区民ひろばコミュニティカフェ
「区民ひろば朝日・南大塚」では、新たな区民ひろば構想に掲げる「多様な主体との連携」を推進するため、令和7年10月から「コミュニティカフェ」のモデル事業を始めます。営業時間を柔軟にして、気軽に立ち寄れる「地域コミュニティの場」とします。さらに、障害のあるかたの作品展示、地域のかたの手作り作品の販売スペース設置など、地域の声を取り入れながら、「特色ある区民ひろば」づくりに努めます。
(3)区民ひろばフードバンク
「区民ひろば長崎」を「新たな食糧支援の拠点(フードバンク)」として、政府備蓄米の無償交付を活用した新たな事業を令和7年10月から開始する予定です。区と豊島区民社会福祉協議会が連携して運営し、備蓄米の申請・保管と、確保した備蓄米を子ども食堂や誰でも食堂などの食糧支援団体などへ提供していきます。

5.不登校対策について
「一人ひとりに寄り添った教育」を「基本構想・基本計画」の施策に位置づけ、不登校対策に取り組んでいます。不登校対策スーパーバイザーによる研修や、全中学校への不登校対策支援員の配置、スクールソーシャルワーカー家庭訪問などの支援を令和7年4月から強化した結果、1学期の区立小・中学校の不登校児童・生徒数は、昨年同期と比べ、小学校は5割以上の減、中学校は3割減と大きく減少しました。6月から試行実施した柚子の木教室でのお弁当支援は、子どもたちが楽しみにして教室に通う日数が増加し、保護者の負担軽減にもつながることから、2学期より本格実施しています。さらに、7月に保護者と懇談した「未来としまミーティング」では、今年度開設したチャレンジクラス「スリジエ」ができたことで、「子どもが安心して登校し、自信を取り戻している」、「早期のわかりやすい情報提供や、安心して相談・支援を受けられる場所の整備などが、保護者間のつながりを広げ心の支えになる」などのご意見をいただき、事業の効果を実感しました。年度末に策定予定の不登校対策総合計画には、保護者のご意見をいただきながら、より必要性と実効性が伴った不登校対策を展開します。

6.多文化共生について
本区の外国人住民は、令和7年9月時点で37,867名、全区民に占める外国人の割合は、全国でもトップクラスの12.8%です。「基本構想・基本計画」では、「多文化共生」を理念に掲げ、全ての施策に共通する土台としています。今年度の区民による事業提案制度では「多様性の尊重・多文化共生」をテーマとし、32の提案をいただきました。区民投票では食やアートの「多文化交流イベント」や、国籍を問わない「子育て世帯の居場所づくり」が上位に選ばれました。
本定例会では、補正予算として、区内に居住する外国人児童・生徒などへの支援を拡充するため、2つの事業を提案します。
1つ目は、区立小・中学校の日本語指導の拡充です。区立小・中学校には、5月時点で582名の外国籍児童・生徒が通っています。昨年度から、日本語学級や日本語指導教員が配置されていない小学校に、教育センターの指導員が巡回し日本語を指導するなど、支援体制を強化していますが、指導開始までに時間を要するケースや、巡回による日本語指導修了後も授業についていけないという課題がありました。その課題を改善するため、巡回指導員を増員するとともに、一緒に授業を受けることで、学習で使う言葉の意味や学習内容をその場で教えるなど、巡回指導終了後の新たな学習支援を開始し、日本語学級や日本語指導教員配置校に引けを取らない、日本語指導体制を整備します。
2つ目は、外国人児童・生徒や保護者への支援です。多言語での相談が可能で、多文化に精通した「多文化キッズコーディネーター」を配置し、地域の支援団体、学校、行政機関などと協力・連携し、寄り添いながら適切な支援につなげます。
今後も、多様性あふれる本区の特長をまちの魅力として捉え、日本人も外国人も地域で輝く「多文化共生」を進めていきます。