くらし 今の住みよい環境を将来につなぐため 一つひとつの施策を着実に実行していく(1)

令和7年第2回江戸川区議会定例会が、6月6日から24日までの会期で開催されました。本会議冒頭に行われた斉藤区長の招集あいさつを紹介します。

今年も春から、区内各地におきまして、地域まつりなどのイベントがにぎやかに開催されております。私もそれぞれの会場にお伺いしておりますが、地域の皆さまの笑顔や活力を肌で感じているところです。開催に当たっては、運営に携わっている方をはじめ、見えないところで尽力されている方も多くいらっしゃいます。さまざまな方が一体となってつくりあげたイベント一つひとつに、本区の豊かな地域の力を実感しております。また同時に、おまつりを軸とした人と人との絆が、こうして着実に受け継がれていくのだと心強く思います。
そして来たる8月には、50回の節目を迎える江戸川区花火大会が開催されます。夜空を彩る大輪の花火を、皆さまと一緒に見上げることを今から待ち遠しく感じます。
思えば、今から50年ほど前――当時、100歳を超える区民の方はわずかお一人でした。しかし今では、100歳を超える区民の方々は237人いらっしゃいます。
これは、医療の進歩や介護・福祉の充実、経済の発展や住みよい環境づくりなど、多くの皆さまのご尽力の賜物(たまもの)であり、人と人との「支え合い」や「つながり」を大切にしてきた本区の歩みを象徴するものだと思います。
今後も、この江戸川区をさらに活力あふれるまちにしていくために、区民の皆さま、議員の皆さまと知恵を出し合い、一体となって区政を推進してまいります。

■引き続き丁寧にご意見を伺い施策の見直しを進める
こうした思いを背景に、区ではこれまで、将来に向けた施策の見直しを、区民の皆さまの声を丁寧にお聴きしながら進めてまいりました。頂いたご意見を踏まえながら、対象の300近い取り組みのうち、すでに半数以上に着手しているところであります。一方で、使用料の見直しや自己負担の導入など、特にさまざまな観点からご意見を頂いたものについては、引き続き区民の皆さま、関係団体の皆さまの声をお聴きしながら検討を続けてまいります。
そのような中、本定例会でお諮りしております施策について、「少子化への対応」「教育環境の充実」「共生社会の実現」という三つのテーマに沿ってご説明いたします。

■安心して産み、育てられる子育て支援を展開
一つ目は「少子化への対応」です。
希望する方が安心して子どもを産み、育てられる環境をさらに整備していくためには、子育てをする方の多様なニーズに応えていく必要があります。その一つが「小学校における登校時間前の居場所づくり」です。
令和6年に区が実施した調査では、登校時間前に校門の前で待っている児童がいるという区立小学校の割合が、約8割となっておりました。
このいわゆる「小1の壁」の問題を受けて本区では、朝7時半から学校内に児童の居場所を用意し見守りも行うことで、登校時間までの間、安全・安心に過ごせるようにしてまいります。まずは地域バランスを勘案しながら10校程度の小学校で先行実施し、準備ができ次第、全校に展開してまいります。
また、経済的な負担を軽減する取り組みも子育て支援には欠かせません。
その一つに「保育料の無償化」があります。これまで補助の対象とならなかった0歳から2歳までの第一子のお子さんにつきましても、保育所や保育ママなどの保育料を9月から無償化します。

■全ての子どもたちが安心して学べる環境を
二つ目は未来を担う子どもたちを育む、「教育環境の充実」についてです。
本区では一人ひとりの子どもに対し、その子の特性や発達に応じた教育環境を提供したいと考えております。
その一環として、区立小学校において、自閉症・情緒障害の特別支援学級を新たに設置することとし、その準備を進めてまいります。よりきめ細かな指導を必要とする児童に対し、常時少人数の学習環境を提供することで、一人ひとりの特性や状態に応じた教育を行ってまいります。
また、水泳授業の安定した実施と学校施設のさらなる地域開放のため、学校プールの屋内温水プール化と共同利用を進めます。
現在、区立小・中学校においては、一部を除いて各学校に屋外プールを整備しておりますが、暑さの厳しい日が増えていることなどにより、水泳授業の計画的な実施が困難になっている他、教職員の負担が大きいなどといった課題もあります。
そこで、今後は原則として一部の中学校に屋内温水プールを設置し、近隣の小・中学校4校程度と共同で利用していきたいと考えております。これにより、児童・生徒に対して安定した水泳環境の提供を行うとともに、地域の皆さまにもお使いいただけるようにしてまいります。
また、現在区立の小・中学校においては、給食費が無償化されており、経済的支援が必要なご家庭には就学援助の制度もありますが、私立の小・中学校などへ通学している児童・生徒はその対象外となっております。そこで今回、その対象を私立学校・各種学校に通う児童・生徒にも拡大いたします。在籍する学校にかかわらず、本区にお住まいのすべての児童・生徒が安心して学べる教育環境を整備してまいります。

■共生社会の実現に向けた体制の整備
三つ目は、年齢や障害の有無にかかわらず誰もが安心して自分らしく暮らすことができる「共生社会の実現」です。
本区では、文化やスポーツの活動拠点となる「文化スポーツプラザ」を本年4月に開設しました。今回、さらにパラスポーツに親しむことができる環境づくりを推進するため、障害のある方を対象としたサッカー教室やバスケットボール教室などを新たに開催するとともに、車いすフェンシングの設備の導入を進めてまいります。
また、障害のある方がいつでも気軽に相談できる体制の整備も進めてまいります。現在、障害に関する相談につきましては、区役所の本庁舎を中心にお受けしておりますが、もっと身近な場所で行ってほしいという声を多くいただいております。
そこで、高齢者向けの総合的な相談窓口である「地域包括支援センター」において障害に関する相談も開始いたします。まず今年度は、区内27カ所の施設のうち、3カ所をモデルとして実施しますが、今後さらに広げていくことで、介護や障害に関する相談を身近な場所で一体的に行うことができるようにしてまいります。
また、高齢の方や障害のある方向けの手当・助成制度についても、時代に合わせて整理・再構築を行います。「熟年者激励手当」や「心身障害者福祉手当」、「住まいの改造助成」などに関しまして、他区の水準や他のサービスなどに照らしながら、過不足や重複がないかといった視点で対象者や金額などの改定を行うことで、制度の適正化を図ってまいります。