くらし 認知症とともに自分らしくあるけるまちへ(1)

自分や大切な人が認知症になったら――認知症やその予備軍とされる方は増え続けており、誰もがなりうるものになっています。認知症になっても安心して暮らせる社会をつくるには、一人ひとりが自分事として考えることが大切です。今号では、認知症に対する新しい考え方や当事者の声を紹介します。

◆認知症は他人事ではありません
国の研究によると、2022年の時点で65歳以上の認知症、またはその予備軍である軽度認知障害を抱えている方は合計で1,000万人を超えており、2040年には約1,200万人(65歳以上の約3人に1人)になると見込まれています。

◆認知症の考え方、変わってきています!
認知症になっても、急に何かが変わるわけではありません。認知症への新しい考え方を理解することで、認知症のある方やその家族が安心して暮らすことができる社会へとつながります。

◆認知症への考え方をアップデートしよう!
◇これまでは…
・認知症になったら、これまで通りのことができなくなる
・自宅で生活することが難しくなる
・自分にはまだ関係ないと目をそらす
・周囲に迷惑がかからないよう、家族がすべてサポートしなければならない

◇新しい考え方
・分かること、できることはたくさんある
好きなことを楽しみながら、自分らしい生活を送ることができる
・認知症になっても地域の一員として、役割を持ちながら暮らすことができる
・自分事として向き合い、備える
認知症になっても、これまでと変わらず自分らしく
・本人の気持ちを尊重し、できることは自分でやってもらう
家族だけで抱え込まず、周囲のサポートを活用する

厚生労働省研究班「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究報告書」
認知症介護研究・研修東京センター「令和6年度認知症地域支援推進員研修テキスト」(一部改変)

◆〔医師からのメッセージ〕認知症を自分事として考えて
平川病院(東京都指定南多摩医療圏認知症疾患医療センター)平川 淳一(ひらかわ じゅんいち)院長
認知症は特別な病気ではなく、誰もが年齢とともに向き合うものです。「自分もなるかもしれない」という気持ちで、早期から備えを行うことが大切だと思います。
また、地域活動への参加は、自己肯定感を高め、認知症のさまざまな症状の緩和に役立つと言われています。ご本人の「楽しいこと」や「好きなこと」を続けられるよう、優しさと理解をもって関わる人が増えていってほしいですね。