- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都多摩市
- 広報紙名 : たま広報 令和7年2月5日号
気候変動や人間活動の影響により、生物多様性が危機に瀕しています。生物多様性とは、一言でいうと「多様な生態系や生きものが存在していること」であり、私たちの豊かな暮らしをもたらす食糧や水などの資源、気候の安定、文化的価値などの多くの恩恵を生み出しています。
生物多様性を守るためには、まず地域の自然を調べることが重要です。令和6年4月に結成された「多摩市生きもの調査隊」では、市民自ら市内の生きものの情報を楽しみながら記録し、この結果をもとに保全を進めるべく活動を進めています。市民が主体的に参加することで、地元への自然環境への理解と愛着を深め、地域全体で生物多様性を守る力を高めていくことを目指しています。
多摩市生きもの調査隊では令和6年4月~11月にスマホアプリ「iNaturalist」を使って約36,000件の生きもの情報を報告しました。その種数は12月末時点で1,520種を超えました。これは市民参加型の調査としては驚くべき成果だと考えられます。
調査隊では、1面の写真にもあるように、絶滅危惧種を含むさまざまな生きものを確認しており、多摩市の自然の豊かさが改めて裏付けられました。例えば、11月にはコウノトリが多摩川に飛来し、野鳥ファンを驚かせました。
一方、もともと市内に生息していない、海外などの外部から人間により持ち込まれた外来種も多数確認されました。特に、アライグマ・アカミミガメ・ウシガエル・ハイイロゴケグモ・オオキンケイギクなど、生態系・人・農産物などへ被害を及ぼすおそれが大きいとされる特定外来生物が13種も確認されたことは深刻な課題です。
特にアライグマについては市でも対策を進めており、駆除業者の派遣を行っています。詳細は、公式ホームページをご覧ください(ID:1002372)。
今回の調査では、気候変動(温暖化)の進行に伴い、クマゼミ・ナガサキアゲハなど南方から北上してきた生きものが生息していることがわかりました。
タイワンウチワヤンマは、東京が北限のトンボですが、今回の調査で多摩市で初めて記録されました。
これらの調査の結果をもとに、市は絶滅危惧種の生息地保全や、外来種対策を市民と連携しながら進めていきたいと考えています。これらの結果はiNaturalistの多摩市生きもの調査隊プロジェクト【URL】https://www.inaturalist.org/projects/tama-city-biodiversity-survey-teamですべて確認することができます。
■調査隊員募集中!
詳しい方も初心者も大歓迎!
多摩市の豊かな生物多様性を後世に引き継いでいくためには、市民の皆さんの協力が不可欠です。
来年度も楽しいミッションを企画していますので、興味のある方はぜひご参加ください。
3月1日(土)・2日(日)にパルテノン多摩で行う多摩エコ・フェスタでも展示や報告・体験入隊イベントを行いますので、ご興味のある方はぜひお越しください。
■生物多様性を守るために
身近なところから行動することが、生物多様性を守るための第一歩です。自然を体験したり、動物園や植物園を訪れたりして、自然や生きものと触れ合ってみましょう。左下記の生物多様性セミナーに参加いただくのもいい機会になると思います。興味をもつきっかけが重要になります。
この他にも、環境省が「MY行動宣言」として生物多様性を守るための行動を掲げています。多摩市の豊かな生物多様性を守るために、市民一人ひとりが意識して行動しましょう。
◇多摩市生物多様性セミナー
ID:1002280
市には、多くの公園や緑地、河川、里山など非常に豊かな自然環境があります。市は、この豊かで多様なフィールドで市民団体をはじめ、企業や学校・専門家など各分野に精通している団体と連携し、多摩の自然を楽しみ、生きものとのつながりを感じるセミナーを行っています。企画が決まり次第、たま広報などでご案内します。
◇多摩市いきものミュージアム
生物多様性の普及・啓発を目的として、市内に生息する生きものを中心に、観察会で採取された魚やアメリカザリガニ・クサガメなどの紹介・展示を市役所東庁舎1階で行っています。
生きものの観察を通じ、生物多様性や自然環境を守ることの大切さを身近に感じてみましょう。
問い合わせ:環境政策課
【電話】338-6831