くらし 令和7年 第1回大島町議会定例会 町長所信表明(3)

5 時代に合った地域性を生かしたまちづくり-活力ある地域づくり-
衰退傾向となっている農業・漁業・商工業等における人材を島内外問わず確保し、様々な世代が定着し活力ある産業振興を図ります。各産業を相互に連携させ、それぞれの資源や強みを持ち寄って経営基盤の強化安定を図る施策を展開します。
農林畜産業、漁業では、特産品の開発やブランド化に努めるとともに、地産地消を推進し、体験事業や育成事業を通じて後継者の確保・育成に努めます。また豊かで活力ある農林畜産業、漁業を目指し、「農業振興地域整備計画基礎調査」や「小規模土地改良事業」による農地荒廃化の防止、遊休農地の利活用、「茶毒蛾・松くい虫の駆除」による天然林の保全、「食害生物対策事業」や稚貝放流による海産物資源保護と藻場の復活などを推進します。
観光においては、長らく大島町の主要事業として実施していた火山博物館施設改修が完了し、「伊豆大島ミュージアムジオノス」として生まれ変わります。ジオノスは、単なる観光施設ではなく、多様な方が訪れ、伊豆大島の地域資源を学び楽しむことで、エリア内の貴重な地域資源の保全・保護を促すとともに、教育や防災、ジオツーリズム等への活用により、地域全体の持続可能な発展を図るための拠点施設です。令和7年度にはオープニングセレモニーをはじめ、企画展やジオガイド養成講座などのイベントも用意し、皆様のご来場をお待ちしております。また、新たな拠点施設のオープンとともに、御神火温泉や弘法浜サンセットプールなどの既存施設の維持管理や活用を含め、持続可能な観光地を作るため、大島町が目指すべき姿やコンセプトを明確化して共有できるよう、大島町観光総合計画を令和7年度中に完成させます。
今月(3月)開催される国際ツバキ大会コングレスツアー、11月に日本で初めて開催される「第25回夏季デフリンピック」のオリエンテーリング競技では、多くの外国人が大島を訪れます。このような催しは、インバウンド対応のうえでも重要と考え、また、島の魅力を発信できる大きな機会ですので、催しの成功に向けインバウンド対応に係る各種整備の準備検討を進めます。
移住・定住については、元町家の上団地の跡地に建設中の「移住体験住宅」への入居が開始となるほか、「地域おこし協力隊」を積極的に活用して関係人口・交流人口の増加を目指します。
なお、令和6年度より本格的に開始した上質な宿泊施設の誘致に関する事業については、地域経済の活性化のために行うものですが、事業を強力に推進するため新たに専任を設け、要綱に基づく各課横断的なプロジェクトチームを立上げてまいります。その中で、観光課、産業課、政策推進課を中心とし、各関連団体と一体となって誘致を進めていきます。

6 まちづくり推進のために-住民とともに歩む-
民主的な町政を推進するために住民の意向を十分把握するとともに、行政の実態を常に周知することに努め、理解と協力を求めていきます。
情報発信については、新たに大島町公式LINEを開設し、様々な情報が手軽にお届けできるような体制を整えます。
また、効率的で質の高い住民サービスを提供するため、適時職員研修を実施するとともに、業務効率改善のためのDX化も積極的に実施します。令和7年度事業としては職員の勤怠管理をシステム化することにより、各種集計作業に係る業務負担を低減させます。
財政面については、近年の決算状況の分析により、各種施設の維持管理費が増大し財政を圧迫しているといった状況が明らかになっています。少子高齢化と急速な人口減少により、現在の大島町の人口は約6,800人程度となっていますが、各種施設数や規模は人口10,000人以上の頃からほとんど変わらないままとなっており、現在の人口で従来の施設を維持していくことは不可能な状態です。老朽化した施設の改修、機能の集約や統廃合など、持続可能な大島町をつくるため住民の皆様とともに検討してまいりたいと思いますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

■おわりに
私のまちづくりの基本的コンセプトである「きぼうのしま」「にぎわうしま」「やさしいしま」を礎に、また、基本構想におけるまちの将来像「郷土大島を豊かにし、共につくる島」を目指し、町民の皆様との協働により都心に近く豊かな自然を擁する大島町の魅力を活かした、豊かな住みよいまちを実現していくため、引続き町民の皆様並びに議員各位のさらなるご指導ご協力をお願い申し上げまして、令和7年度の所信表明といたします。

令和7年3月4日
大島町長 坂上 長一