くらし 今、加賀市の梨がアツい(1)

加賀市は石川県内最大の梨の産地で、10種類以上の品種が栽培され、毎年千トン規模の梨が出荷されています。主な産地は奥谷と小塩辻で、それぞれの土地に合った方法で丁寧に育てられています。
現在市内には約50戸の梨農家がいますが、少子高齢化により産地衰退の危機に直面しており、この状況を打開するため、加賀市は後継者の受け入れ体制を強化してきました。
近年では多くの若い移住者が梨農家に弟子入りし、独立を目指して加賀の梨づくりに挑戦しています。
「加賀市の梨を盛り上げていきます!」

■加賀梨は2つの産地から
海側と山側に2つの産地があり、栽培環境の違いからそれぞれに魅力の異なる美味しい加賀梨を生産しています。これらの2つの産地は、それぞれの特性を活かしながら、加賀梨のブランド価値を高めています。

▽[小塩辻]伝統と品質を守る海側の産地
海側の「小塩辻」は、大正7年の栽培開始から現在に至る約100年の歴史があり、大玉・高糖度にこだわりながら高品質な梨の生産に取り組んでいます。

▽[奥谷]先進的な取り組みと広大な梨園
山側の「奥谷」では人里離れた山間地で約32haという広大な面積で除草剤を使わない草生栽培、自然交配による受粉、果実に袋掛けせず、防蛾灯設置による減農栽培を実施しています。

■移住と農業でよい循環が生まれてきています
ぶなの森 山田淳史さん
大聖寺と山代温泉で移住検討者向けの滞在拠点を運営。仕事・住まい探しなどの移住サポートを行う。

移住を検討している人は「働き方を変えたい」「地域らしい仕事をしたい」と思われる人が多くいます。まさに農業はそのどちらにも当てはまる傾向があり、移住とは非常に相性がいいと感じています。
移住者がよくチェックしているWEBサイトでも、農業に関する記事は人気です。ただ、設備投資や初期投資、技術の取得や販路など…「農家になるのってどうしたらいいの?」と感じることも多いようです。
その点では加賀市の「梨」農家は、これらのお悩みにすべてに道筋を立てられる支援体制があり、独立しやすい環境にあります。産地の農家さんたちも受け入れたいという気持ちがあるので、移住がうまく成功しているのだと思います。そして、若い移住者がいきいきと活動する姿を見て、「私もやってみたい」と後に続く人が出てきていて、好循環が生まれています。

■加賀梨の魅力
加賀梨は甘くて、ジューシーでシャリシャリとした食感が特徴です。このみずみずしさから夏場は水分補給は「梨」で…というエピソードも。加賀市では、これらの品種を時期に応じて丁寧に育てることで、長い期間にわたって美味しい梨を楽しむことができます。

・新水
出荷の目安:7月末~8月上旬
サイズは250~300gくらいと若干小ぶり。肉質はやわらかく多汁で、甘さの中にほどよい酸味も含まれていて濃厚な味わいです。
・愛甘水(あいかんすい)
出荷の目安:7月末~8月上旬
果実の大きさは300~350g程度で、果皮の色は黄赤褐。ほどよい硬さの果肉とさっぱりした甘さが特徴です。
・幸水
出荷の目安:8月上旬~9月上旬
果汁が多く、甘さの中にほどよい酸味。その甘味・食感・質の良さから、人気の高いロングセラー品種です。
・加賀しずく
出荷の目安:8月下旬~9月中旬
2017年デビューの石川県オリジナル品種。果実の重さが約600g前後と大きく、酸味が少なく上品な甘さ。
・豊水
出荷の目安:9月上旬~9月下旬
果肉が柔らかく、みずみずしい食感。甘味と酸味のバランスもよく、また比較的日持ちするので重宝されます。
・二十世紀
出荷の目安:9月中旬~9月下旬
きれいな黄緑色でサイズは約300g前後の中玉。多汁でシャリシャリとした果肉は甘味と酸味がバランスよく調和しています。
・あきづき
出荷の目安:9月中旬~10月上旬
果実の重さが約500g前後で、サイズもやや大きめ。果肉は緻密で糖度が高く、酸味は少なめで果汁も豊富です。