- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県
- 広報紙名 : 山梨県の広報誌ふれあい 特集号 夏 vol.85
■世界遺産の保全と観光
富士山は日本の象徴として、古くから信仰の対象や芸術のモチーフとして大切にされてきました。
2013年、世界文化遺産に登録されたことで国際的知名度も高まり、国内外から多くの登山者が訪れています。
一方で、世界遺産の保護・保全、モニタリングを行うイコモス(ユネスコの諮問機関)からは、来訪者が多すぎる、環境負荷が大きい、といった課題も指摘されています。
山梨県は、急増する登山者に対応する施策を実施するとともに、魅力ある新たな富士登山の在り方を発信していきます。
県は、富士山の保全と安全な登山環境の実現を目指し、登山規制を段階的に強化してきました。2025年度からは、いくつかの重要な変更が行われます。
まず、ゲートの閉鎖時間を16時から14時に前倒しします。閉鎖時間を2時間早めることで、山小屋に泊まらず夜通しで一気に山頂を目指す弾丸登山の防止に努めます。
次に、富士山吉田口通行予約システムを改良します。日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)に加え、韓国語とベトナム語を追加しました。決済方法も増やし、従来のクレジットカード、Alipay、WeChatPayに加えてPayPayも利用可能としました。さらに、予約状況がカレンダー形式で視覚化され、日付ごとの空き状況が一目で分かるようになりました。予約後の日付変更機能も追加し、予約変更にも柔軟に対応できるようにしました。国内外からのスムーズな予約手続きの実現により、登山者の利便性向上が図られます。
また、安全対策として、登山に必要な装備の確認と富士登山ルール遵守の誓約を追加しました。これにより、弾丸登山や軽装登山の抑制が期待できます。
加えて、山梨県富士山レンジャーに関する規則を改正し、レンジャーの指導についての法的権限を明示することで、五合目での登山指導体制を強化します。
これらの登山者の利益となる対策費用については、登山者自身にご負担いただくことが原則だと考えます。そこで、富士山保全協力金と通行料を一本化し、通行料を4000円に変更します。通行料は、安全な登山環境の整備や世界の宝である富士山を守る費用にその全額を活用します。
◇新たに定めた誓約事項
誓約事項に同意いただけない場合、ゲートを通過することができません。
通行料をお支払いいただく際に、登山に必要な装備の確認と遵守事項に誓約していただきます。登山に必要な装備として、防寒着、セパレートタイプの雨具、登山に適した靴が必要になります。また、山小屋に宿泊せず夜間に登山をしない(弾丸登山をしない)、登山道を外れて歩かない、ゴミは必ず持ち帰るといった事項に同意いただくことでゲートの通過が可能となります。
◇こう変わる予約システムも改善
2025年度から富士山吉田ルートの通行予約システムが改善され、より使いやすく、多様なニーズに対応できるようになりました。主な変更点を2024年度と比較しながらご紹介します。