健康 おしえてドクター 35

■人口股関節ってどんなもの?~関節の痛みと治療法~
◇人工関節とは
股関節は太ももの骨(大腿骨)と骨盤をつなげる重要な関節です。加齢やケガ、病気によって軟骨がすり減ったり、変形したりして変形性股関節症などの病気を発症することがあります。特に現在60歳以上の方の多くは乳児健診がなかったため先天性股関節脱臼に気づかないまま成長された方が少なくありません。そのため大人になってから変形性股関節症を発症し痛みや歩きにくさに悩まれることが多いのです。強い痛みや関節の動きの制限があり、リハビリや内服薬、注射などの保存療法では十分な効果が得られない場合、人工股関節置換術が検討されます。

◇手術と治療の流れ
人工股関節置換術は損傷した関節部分を切除し人工の関節に入れ替える手術です。手術後は、数日で歩行練習が始まり、リハビリを継続して行います。個人差はありますが数週間~1か月程度で退院し社会復帰や日常生活への復帰が可能になります。

◇人工股関節の寿命
最近では素材や手術技術の進歩で人工関節の寿命が大きく延びています。20~30年ほどもつ場合が多く、中年期の方でも安心して手術を受けられます。万が一再手術(再置換術)が必要になった場合も適切に対応できる技術が確立されています。

◇人工股関節手術後の生活
正しいリハビリや生活動作の工夫が重要です。重い物を持ち上げる、深くしゃがむ、激しいスポーツなどは注意が必要ですが、正座をはじめほとんどの日常生活動作が支障ありません。多くの患者さんが痛みから解放され、再び活動的な生活を送るきっかけを得ています。お困りの方は無理をせず、早めに専門医へご相談ください。

■市立甲府病院整形外科 中村祐敬(なかむらまさひろ)ドクター
・平成9年山梨医科大学医学部卒業
・日本股関節学会評議員
・山梨大学整形外科助教等を経て平成22年から当院勤務

問合せ:市立甲府病院
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