くらし Focus 今月の焦点(1)

■姉妹都市 穴水町との交流「改めて考えたい私たちの防災」
令和6年1月1日、能登半島を襲った地震は、震度6強を観測し、多くの家屋が倒壊または半壊しました。特に木造住宅や古い建物で被害が大きく、中心部や沿岸部では道路や港湾施設にも亀裂や隆起が発生し、断水や停電等生活に必要なライフラインに大きな影響を与えました。また、道路の寸断や土砂崩れにより孤立集落が発生し、救援物資の輸送も困難な中、商店や病院も深刻な被害を受け、避難所生活を余儀なくされた住民も多数いました。
こうした中、今年は震災後初となる小学生の交流事業が再開され、石川県穴水町から11名の児童が南アルプス市を訪れた他、同町伝統の長谷部祭りに市八田能登穴水町交流事業実行委員会も参加する等、互いに交流を深めながら着実に復興の歩みを進めています。また、9月13日には、市若草生涯学習センターで、震災後穴水町の復興事務に携わった本市職員による防災講演会も行われ、震災から1年9か月が経った今、改めて「姉妹都市穴水町」と「私たちの防災」について振り返り、考えたいと思います。

■穴水町との交流の歴史
穴水町との交流は、平成2年の同町による「穴水姓の調査」の結果、旧八田村が全国で一番穴水姓が多かったことをきっかけに、平成5年に姉妹町村提携を結んだことから始まりました。
その後現在に至るまで、小学生による交互訪問や、お互いの特産品の物産交流、「かきまつり・まいもん朝市」などの交流事業が継続して行われています。
こうした交流は、震災のあった昨年も可能なところから少しずつ取り組み、途切れることなく強い絆を深めています。

■子どもたち、南アルプス市を満喫
8月4日、市役所を訪れた子どもたちの中には、いまだ仮設住宅に住む児童もおり、震災の爪痕が残る中での交流事業再開となりましたが、元気いっぱいに市内の児童と全4日間の日程を過ごしました。
訪問初日の歓迎会、穴水町訪問団長の大間順子教育長が語られた「この交流で、自分の話した言葉は未来をつくる。聞いたことは心をつくる。食べた物は体をつくる」という言葉を実践するように、育ち盛りの児童たちはバーベキューをモリモリと食べ、溢れる笑顔で体験活動を楽しみ、お互いのことを語りながら仲を深めていました。

▽交流日程
・8月4日…歓迎会
・8月5日…穴水町との交流の歴史紹介、藍染め体験、地元産フルーツパフェ作り体験、バーベキュー、カヌー体験、伊奈ケ湖周辺散策
・8月6日…芦安山岳館見学、甲斐犬とのふれあい体験会、ほうとう作り体験、だるま色付け体験、桃狩り体験
・8月7日…出発式

■「もしものいつか」に備える防災
9月13日若草生涯学習センターで、穴水町の復旧・復興支援に携わった職員による防災講演会が行われました。
市では、震災後の令和6年1月から延べ27人の職員を派遣し復興を支援してきました。この支援は現在も続いており、今もなお現地では職員が復旧業務に従事しています。
講演会では、半年に渡って穴水町で従事した小林俊輔主査が講師となり、被災後の状況等を説明しました。
講演では、「大きな災害で被災すると、全国からの支援が無ければ再建をすることは困難な状況になる。被災地を知り、応援することは、まちや被災者がどのように再建にむけて進むのか知ることにもなる。それは、自分自身が被災した時に、どのように行動すれば良いかを知るきっかけにもなる」と語り、震災を教訓にして、人々の暮らしを以前より良くするという未来を描くことの大切さを伝えました。

■穴水町「長谷部まつり」に参加
市八田能登穴水町交流事業実行委員会は、7月19日(土)に開催された「第63回長谷部まつり」に参加し、南アルプス市特産の「もも」などを用意して姉妹都市交流を行いました。祭りは、初代穴水城主長谷部信連を偲ぶもので、2年振りに武者行列も復活するなど、震災から1年9か月、少しずつ復興の歩みを進めています。

▽小林俊輔 主査
平成24年技術職として入庁、採用後は建設部で経験を重ね山梨県庁へも出向、令和6年5月より半年間穴水町総務課復旧復興対策室に在籍し、復興計画の策定や現地の状況をまとめた復旧カルテを制作し「復旧状況の見える化」に取り組んだ。現在は南アルプスIC周辺整備室で市のまちづくりに携わる。

問合せ:
生涯学習課【電話】282-7778
管理住宅課【電話】282-6397
八田窓口サービスセンター【電話】282-5600