くらし 活動内容を紹介します 地域おこし協力隊活動だより Vol.32

■フィンランドで学んだ森の中での主体的な学び
◇未来の教育コーディネーター

山本 風音(やまもと かざね)さん
令和6年4月に地域おこし協力隊に着任。自然環境と暮らしに学ぶ「森と学び」の推進、子どもと森をつなぐ居場所づくり、フィンランドとの学校間交流などを担当しています。

今年の5月に、伊那市の視察団の一員としてフィンランドに行ってきました。教育班のメンバーに加わり、現地の小中学校や幼稚園などの教育現場を訪問しました。実際の授業を見学するだけでなく、先生方とディスカッションをするという場面もありました。
私自身の今回の視察の目的は、フィンランド教育における「森と学び」のあり方を探ること、森や野外で学ぶことの教育的な効果や意義を探ることでした。実際にいくつかの学校を訪ねる中で、日常的に教室を飛び出し、近くの森や自然の中で授業を行っている現場を見ることができました。森での体験を通して、子どもたちは体を動かし、五感を働かせながら、周囲の世界や自分自身について学びます。そうした実感の伴った体験が、教科書で扱う抽象的な知識や概念と結びつくとき、その子にとっての生きた学びが培われるのです。実際に訪れた小学校でも、森で体育、英語、算数などの教科を横断的に組み合わせて授業が展開されていました。
「私にとって森は、自分自身でいられる場所」。ある小学校を訪れた際に6年生の女の子が語ったこの言葉が、印象に残っています。フィンランドの人たちの森との親密な関わりや、「学びは自分自身のためにある」という価値観を、端的に表しているような気がしました。そんなふうに、森との関わりを通して自分の興味や好奇心が自発的に起こり、「学ぶことは楽しい」と思えるような体験に出会うことができれば、自分自身のための豊かな学びは、生涯にわたって続いていくのではないでしょうか。そのことをフィンランドの森から学びました。

問合せ:地域創造課 移住定住促進係